浜松のモノ作りインフラ生かして指圧器を開発

長谷川智
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 【静岡】浜松市西区の元自動車技術者が、もの作りの町の創業支援インフラを活用して独自の指圧器を開発した。指圧する位置を自由に設定でき、指圧師に近い感触を目指した。「半年あまりで開発できた。浜松ならではの早さ」と話している。

 開発したのは健康器具ベンチャー浜松健器の松本明夫さん(60)。広島県出身でマツダを経てトヨタ自動車系部品メーカーなどで開発設計を担当。2017年から浜松市に在住し、20年に定年退職した。

 40歳の頃から腰痛に悩んでおり、定年をきっかけに指圧器の開発に取り組んだ。まず市や商工会議所などで運営する「はままつ起業家カフェ」に相談。試作品を見せたところ、「もっと外観に気を使った方がいい」とアドバイスされ、色やデザインを工夫した。財務や法務の指導も受けた。

 製造では公益財団法人・浜松地域イノベーション推進機構に相談した。樹脂やスプリング、梱包(こんぽう)材など地元部品メーカーを紹介され、4社の協力を得て製品を完成させた。6月末から販売を始めた。

 効果を高めるにはリラックスした状態の指圧が有効とされる。指圧器の上にゆったり寝て、背中の下から押す仕組みにした。二つの球はツボに合わせて手軽に移動できる。球は指圧師の親指に似せて、内側を硬く外側を柔らかくした。指圧は上から押すが、この器具は下から押す。このため名称は逆さにした「圧指(あつし)」をもじって「指圧器アツシ」とした。

 松本さんは「一人で開発していたら間違いなくもっと長くかかっただろう。健康と背中のツボにこだわり、片頭痛にも効くような器具も開発したい」と話す。5940円(税込み)で、ネット販売をしている。問い合わせ先は053・548・6602。(長谷川智)

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