月の水は誰のもの? 日米で法律、企業の利用可能に

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香取啓介、小川詩織
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 アポロ計画以来の有人月着陸をめざし、米航空宇宙局(NASA)や宇宙航空研究開発機構(JAXA)などが計画する月探査。こうした計画に参加した民間企業が、探査先の天体で水や鉱物といった資源を採取し、利用してもいいと認める法律が6月、日本で成立した。同様の法律を整備したのは米国などに続き世界で4カ国目。所有権を明確に認めることで、民間の参加や投資を促す狙いがある。

 月には氷や水があり、飛行士の飲料水に利用できると期待されている。また、ロケットや探査機の材料にもなる鉄やチタン、アルミニウムのほか、核融合の燃料になる「ヘリウム3」もあるとされる。月で資材やエネルギーを調達し、火星のようなさらに遠い天体を探査する際の中継地にすることも検討されている。

 ただ、他の天体の資源を一部の国が利用していいのかという懸念があった。1967年に発効した「宇宙条約」は、国家による月や天体の領有は禁止したものの、資源を所有することは明確に禁じていない。その後、月の資源を「人類の共同財産」と定める「月協定」が84年に発効したが、日米中ロなど主な宇宙先進国は批准していない。

 実効的な国際ルールがないまま、月や火星への探査熱の高まりを受けて2015年、米国で企業による宇宙資源の所有権を認める法律が成立。これを皮切りに、宇宙産業を国家戦略として進める欧州のルクセンブルクや中東のアラブ首長国連邦(UAE)でも同様の法律ができた。さらに米国は昨年、資源の採掘や利用を認める「アルテミス協定」を発表。日本など12カ国が署名している。

 一方、ロシアなどは「宇宙は共有の財産。一方的な法律や規制をとるべきではない」と批判、国連の枠組みでの議論を求めている。有志国や企業、法律家らでつくる「ハーグ宇宙資源ガバナンスワーキンググループ」(ハーグWG)は19年、国際的な枠組みの検討に向けた提言を発表した。国連宇宙空間平和利用委員会(COPUOS)でも議論が始まったが、国ごとの宇宙開発能力に大きな差があるなか、全会一致が原則の国連で合意を得るのは現実的ではない。

 こうしたなか、日本でも今年6月、宇宙資源法が超党派の議員立法として成立した。宇宙資源の探査や開発をしたい企業が目的や時期、方法などの計画を国に提出、許可されれば所有権が認められる。

 法案審議では、共産党が「早い者勝ちの宇宙開発になりかねない」と反対したが、中心となった自民党の大野敬太郎衆院議員は「国際法的にも、資源の所有権は各国の国内法で認めていいという解釈が主流になりつつある。無秩序な宇宙開発にならないよう、能力がある国がリーダーシップを取ってルールづくりを進めなければならない。宇宙資源法が成立したことで、日本もその議論に参加するインフラができた」と語る。

 月探査では、ホンダやトヨタ…

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