あの名コンビで考える「女の友情」 形変わっても永遠に

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田中ゑれ奈
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 「女の友情は薄い」「女の敵は女」。そんな嘲笑にあらがうごとく今、シスターフッドという言葉が注目を集めている。そのはしりとも言うべき名コンビのベストセラー『ああ言えばこう食う』から20年あまり。「身辺の変化」を経て今、檀ふみさんが考える女の友情とは。

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1982年ごろ、初めて出会った日の檀ふみさん(右)と阿川佐和子さん=阿川さん提供

 「男の友情」にはロマンが満ちている。殴り合っても最後は肩を組み、試練にも打ち勝つ強い絆……。「そんな友情、あるのかなぁ」と俳優の檀ふみさんは首をかしげる。

 ある時、父・檀一雄太宰治と熱海で豪遊し、宿代が払えなくなった。檀を残して金の算段に走った太宰は何日経っても帰らず、捜しにいくと、井伏鱒二宅で将棋を指していた。怒鳴りつける檀に「待つ身が辛(つら)いかね、待たせる身が辛いかね」。そんな逸話から生まれた「走れメロス」は今、教科書の定番だ。

 かたや「女の友情」はどうか。檀さんは1998年、友人でエッセイストの阿川佐和子さんと初の往復エッセー集『ああ言えばこう食う』を出した。元々は「食」がテーマの雑誌連載だったが、「アガワは五十回近い見合いのかいもなく、いまだに独り身でいる」という檀さんの一文で始まるやりとりは往々にして、恋愛・結婚にまつわる自虐と互いの悪口へと転がっていく。

阿川佐和子檀ふみ『ああ言えばこう食う』1998年刊 

初出は雑誌「TANTO」(集英社)で1996~98年に連載。99年に第15回講談社エッセイ賞を受賞。単行本と2001年刊の文庫をあわせた累計発行部数は60万部以上。00年に旅をテーマにした続編を刊行、文庫とあわせて累計39万部以上を発行した。

 その観察眼は鋭く、物言いは辛辣(しんらつ)だ。鬼気迫る表情で腰を入れて米を研ぐ阿川さんの様子を「ご飯では絶対にオトコを釣れない」と檀さんが活写すれば、犬を溺愛(できあい)する檀さんの姿に「こんなに愛情深くて面倒見の良い女にどうして男ができないか」と阿川さんがやり返す。腹の贅肉(ぜいにく)や便通の有無まであげつらう書きっぷりは「女にこんな友情があったのか」と驚かれ、人前でしゃべればすわケンカかと皆が慌てた。

記事の後半では「我は、おばさん」の著者、岡田育さんが「偉大なる先達」と語ります

 「でも、私たちはそれが面白…

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