コロナ下での企業移転 「東京一極集中の是正」は遠い道

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明楽麻子、南日慶子
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山梨県小菅村に本社を移転した東京・渋谷のクラフトビールメーカー「Far Yeast Brewing」の醸造所
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 新型コロナは、企業の東京から地方への移転の背中も押した。

 東京・新宿から電車で約1時間20分。さらにバスで乗り継ぐと、緑の渓谷が広がる山梨県・小菅村に着いた。村の一角には、空き工場を改装した醸造所がぽつんと立っていた。ホップの香りが周囲に漂う。

 この人口約700人の村に、東京・渋谷のクラフトビールメーカー「Far Yeast Brewing」が本社を移転したのは昨年10月のことだ。

 2011年創業の同社は、「和」をテーマにしたビールなどを手がけ、ヨーロッパやアジアなど海外24カ国に輸出する企業へと成長した。

 転機は昨年4月。緊急事態宣言を受けてリモートワークを導入したところ、業務に支障がでなかった。以前にも本社移転を考えたことはあったものの、社内で賛否両論があり、移転を見送っていた。

「地方を盛り上げたい」

 山田司朗社長(46)は「コロナ禍で在宅勤務をせざるを得なくなったが、それで仕事が回った。東京は固定費がどうしてもかかるので、地方に拠点を移すことで家賃なども安くなった」と話す。社員22人のうち5人が村に住む。

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クラフトビールメーカー「Far Yeast Brewing」の醸造所で仕込みの作業をする従業員=山梨県小菅村

 小菅村は、東京の水源である多摩川の源流地域にあたり、ビールに適した水を活用しようと17年に醸造所を開設していた。山田社長も16年から小菅村近隣に移り住んでいる。村民との交流が増え、地域を盛り上げる活動をしたいと思うようになった。村で作っていた梅の収穫を手伝って、ビールの原料にした商品を出したこともある。

 山田社長は「補助金ありきの地方創生はサステイナブル(持続可能)じゃない。地域の人と交流しながら、埋もれているポテンシャルをなんとか形にして、地方を盛り上げたい」と意気込む。

■「地域の一員になる」…

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