第1回廃品鳴門まきにサンマパン 戦時下のレシピ集を再現した

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向平真
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 8月15日の終戦記念日が近づいて参りました。平和について考えることはいつだって大事ですが、こうやって思いを深める節目があるのは、とりわけ大切なことに思えます。かつての戦争は、食卓にも深刻な影響をもたらしました。

 2021年3月2日に創刊5万号を迎えた朝日新聞。その140年余りの歩みをたどる企画の中で、過去の紙面に掲載されたお料理レシピを現代に再現してみようという連載をスタートさせました。今回は、お料理レシピという切り口から、戦争と平和に思いをはせたいと思います。

対米開戦前、早くも「切り詰めレシピ」

 戦時中はイモ・マメ・カボチャばかりだったので、もう二度と食べたくない。そんな話は両親からよく聞きました。父親(83)は今でも箸をつけようとしません。当時よりは品種改良も進み、ずっとおいしくなっているはずですが……。 それほど心の傷は大きいのでしょう。

砂糖にバター、意外と「ぜいたく」な材料が…

戦前の朝日新聞紙面に掲載された料理レシピ。再現してみると、意外と「ぜいたく」に思える材料が使われていました。当時、物資が足りない時期ではなかったのでしょうか。記事の後半では、当時の時代背景などを長沢美津子・編集委員が解説します。

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「廃品利用の鳴戸まき」の記事=1941年11月19日東京朝日新聞朝刊4面

今回調べてみて意外だったのは、対米開戦直前に「乏しい食材を工夫しよう」系のレシピがすでにたくさん出回っていたことでした。世界史では第2次世界大戦は1939年からとされていますが、日本はすでに、1931年の満州事変から続く日中戦争のさなかでした。もう「じり貧」だったのでしょうか。「切り詰めレシピ」の中から、まず食品くずを再利用したこちらをご紹介します。

廃品利用の鳴戸まき(1941年11月19日 東京朝日新聞4面)

 果物の皮を刻んで餡(あん)に仕立て、サツマイモのお焼きで巻いた、おかずとおやつの中間のような、ユニークな一品です。真珠湾攻撃まで一カ月を切った、まさに日米開戦前夜のひと品。すでにこの段階で、果物の皮を使わなければいけないところまで追い込まれていたのでしょうか。でもまだ果物は手に入っていた、そんな時代だったのかもしれません。

 料理自体はさほど難しくない…

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