横浜市長選に立候補の8人 第一声で訴えた政策とは

横浜市長選挙

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 横浜市長選が8日告示され、現職と新顔の計8人がいずれも無所属で立候補を届け出た。台風10号の接近で大荒れの天候となり、候補者は第一声の時間を遅らせたり、場所を屋内に変えたりして、マイクを握った。

 14日間の選挙戦では、市が進めるカジノを含む統合型リゾート(IR)誘致への賛否や、コロナ禍で打撃を受けた地域経済や市財政の立て直し、3期12年の林市政への評価などをめぐって論戦が繰り広げられる。

 市選挙管理委員会によると、同市長選の候補者8人は1982年と98年の6人を上回り過去最多。1位の候補者が当選に必要な有効投票総数の4分の1に届かず、再選挙になる可能性も取りざたされている。

 投票は22日午前7時~午後8時、市内630カ所で行われ即日開票される。期日前投票は9~21日、全18区の区役所や原則各区1カ所設けられる臨時期日前投票所で。

小中学校の給食を無償化に 太田正孝氏

 カジノができれば、カジノに溺れて必ず人生を誤る者が出てくる。自分も家族もおかしくなるし、勤勉を忘れる。カジノは日本の中ではやらせない。

 新型コロナウイルス対策では、治療薬が出てくるまでは封じ込める以外に道はないのに、国も横浜市もやっていない。これは大きな落ち度だ。

 今、横浜市は3兆円を超える借金で苦しんでいる。市長になったら、市の仕事ごとに必要性を考える。財政改革をするための心意気を示すために、市長の給与は半額にする。

 明日をつくる子どもたちの健康、活力のため、給食は非常に重要だ。「ハマ弁」は中止する。なるべく早く正規の学校給食を行う。その上で、子育て支援のため小中学校の給食は無料にする。150億円かかるが、改革で1千億円は節約し、その中からあてる。(磯子区の選挙事務所で)

米軍跡地に医療・救急施設を 田中康夫

 福祉、医療、教育、環境、観光、防災は、人が人のお世話をして初めて成り立つ領域。この分野への傾注、投資が、地域の経済、地域の人々に雇用と活力と希望をもたらす。その信念のもとに選挙戦を戦う。

 多くの人のあこがれの街である横浜は、住んでいる方にとって「光と影」が少なくない。改めるべき点を改め、伸ばすべき点を伸ばす。この横浜の地から閉塞(へいそく)感に覆われた日本が一歩を踏み出せる。

 「12の取り組み」を公約に掲げた。在日米軍の上瀬谷通信施設の跡地には医療・福祉、消防・救急の統合型のレスキュー施設をつくる。カジノは敷地の中で食事も宿泊も全部囲い込んでしまい、地元の経済を潤さない。中学校では温かい完全給食を実現する。18区ごとに独自予算をつけ、地域の実情を熟知する市議の予算提案枠をつくっていく。(中区の選挙事務所で)

新産業・雇用生むまちづくり 小此木八郎

 5月24日に菅(義偉)総理に私の思いをぶつけた。長年のつきあいだが決裂する覚悟をして言った。「市長選に立候補する。IRはとりやめる」。このままだとIRを掲げて進んでしまう横浜の姿が想像できた。

 「ハマのドン」。メディアがつくった言葉だ。藤木幸夫会長。私から言わせれば「港のおじさん」だ。誰よりも横浜を愛し、港を愛し、汗をかいてきた。その方が山下ふ頭以外ならどこでもいいんだなんておっしゃっているが、私は違う。横浜でIRは採用しない。

 大事なのはIRとりやめを実現し、その後の横浜をどうつくるかだ。総理は脱炭素社会をつくると世界に発信した。いま、ガソリンに頼らない車づくりを自動車会社が進めている。船舶も努力をはじめた。やり方によっては新しい産業、雇用を生む。その一番最初のまちづくりに手をあげたい。(中区のホールで)

地方自治の見本へ 志を示す 坪倉良和氏

 市中央卸売市場を活気ある場所にしようと活動してきた。降ってわいたようなIR・山下ふ頭の問題は絶好のチャンスだと思った。

 水産と青果、食肉の流通基地をこしらえ、フィッシャーマンズワーフや多様な飲食店街をつくる。米軍の艦船を使ったり、簡易なホテルをつくったりして、山下ふ頭が世界の食の一丁目一番地になるよう、IRの代替案を提案している。

 でも立候補の本当の狙いはそこではない。もうちょっと横浜をなんとかしたい。地方自治における日本の見本にしたい。それには市財政がどうなっているかを随分勉強した。非常におかしな、理不尽なことがたくさんある。

 志のある人が、一銭もなくてもこうした舞台に立てる見本を示したい。ポスターはつくりません。街頭演説もしません。(神奈川区の市中央卸売市場本場正門付近で)

IRの収益を子育て対策に 福田峰之

 目下の課題はコロナ対策。市民の理解と協力がなければ感染拡大は止まらない。人が集まる選挙をやったらお願いはできない。そのため、今回インターネット上にデジタル選挙事務所をつくった。コロナ対策を尽くし、デジタルを使い多くの民意を受け止める新しい選挙活動を行っていく。

 私はIR賛成の立場で立候補した。横浜の財政は2040年に1500億円の収支が不足するという見通しがある。一方、IR誘致で得られるお金は少なくとも年600億円と言われる。子育て対策を徹底し、現役世代が横浜に住みたいと思ってもらえるよう、IRの財源を使いたい。

 主要政策にデジタル都市、子どもファースト、再生可能エネルギー拠点を掲げた。多くの方々が住みやすい街になれば人口は減らず、高齢者の社会保障を支えることもできる。(青葉区のたまプラーザ駅前で)

データ活用 コロナ封じ込め 山中竹春氏

 横浜では今、コロナの感染爆発が起きているが、これは政治の問題。専門性を生かして、科学的な根拠、客観的なデータに基づき、コロナの封じ込めをする。カジノについては、IR構想自体に断固反対、即刻撤回。横浜のどこにも、カジノは未来永劫(えいごう)作らせない。

 重点政策として三つのゼロを目指す。75歳以上の敬老パス無償化、自己負担ゼロ。子どもの医療費ゼロ。医療費がかさむ不安を取り除く。そして出産費用ゼロ。追加で自己負担が生じると、出産一時金だけでは足りないケースがある。子どもを産み育てやすい街、横浜を実現する。他にも様々な病気の治療を安心して受けられる街を作りたい。

 横浜には古いしがらみが滞留している。開国の地、横浜にふさわしい、オープンで多様性のある政治を市民の手に取り戻し、横浜新時代を作る。(中区の選挙事務所近くで)

12年の経験 経済復活に必要 林文子氏

 市民や職員と心をあわせてやってきた自負がある。

 東京のベッドタウンとして成長した横浜市で経済活動を活発にしてきた。もっと観光事業をとIRに手を挙げた。このチャンスを逃すことはできない。自民党公明党も協力するとしてきたが、途中でやらないことになった。今までやってきたことは何だったのか。国の戦略を自ら覆される、こんな不実なことがあっていいと思わない。

 コロナを抑え込み、絶対に重症化させない。横浜の医療スキルは高く、市内病院が連携している。この大都市でも重症化する方が少なく、病床逼迫(ひっぱく)はしていないので安心してほしい。

 横浜にはチャンスがある。コロナ収束後に立ち上がるには経済的な感覚をもち、12年間、市民と関係性を築いてきた人間に取り組ませてほしい。必ず経済を復活させると約束する。(青葉区の青葉台駅前で)

「英語の街」で企業進出促す 松沢成文

 一番重要なのは組織でも知名度でもなく政策だ。私は条例づくりのプロだ。

 まず第一はコロナ対策。ワクチン接種最速化プランやコロナ感染症対策推進条例をつくる。二つ目は、カジノ禁止条例。カジノの街ではなく、英語の街ヨコハマをつくりたい。幕末の横浜開港は、今で言えば北朝鮮シンガポールができるようなものだ。日本の近代化と文明開化をリードしたのが横浜だった。

 市長になったら、英語を市の第2公用語にしたい。香港やシンガポールのようなバイリンガル都市になれば、世界中の企業が「アジアに進出するなら英語が使える横浜だ」となる。

 林文子市長は600億円をかけて、自分の趣味であるオペラハウスをつくると言う。私はこれをやめて、400億円で中学校の全員給食を、できれば5年以内に実現したい。(西区の横浜駅西口で)

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2021年8月8日告示、22日投開票。林文子市長が8月29日に3期目の任期終了。争点はカジノを含む統合型リゾート(IR)誘致や、コロナ禍の地域経済など[記事一覧へ]