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ワクチンで不妊?妊娠中の接種は? 学会がQ&A作成

新型コロナウイルス

神宮司実玲
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 「ワクチンで不妊になる?」「妊娠中に接種しても大丈夫?」――。新型コロナウイルスのワクチンに対し、妊娠中や妊娠を考えている女性らが抱く一般的な疑問について、日本産婦人科感染症学会がQ&Aをまとめた。担当者は、「正しい情報に基づいて、判断してほしい」と話す。

 学会はこれまでも、日本産科婦人科学会(日産婦)などと合同で、海外での接種状況を踏まえ、母子ともに重篤な合併症の報告がないことなどから、「希望する妊婦はワクチンを接種できる」との見解を示している。

 Q&Aは全部で15問。コロナウイルスやワクチンに関する情報を発信するサイト「こびナビ」に寄せられた質問などをもとにつくった。一部には、海外の論文や、国内の学会の提言をもとにした解説をつけた。

 妊娠中の女性は接種しても大丈夫なのか。この質問への回答は、「接種して大丈夫です」。

 米国や英国の調査で、ワクチンを接種した妊婦と接種していない妊婦の流産率に変化はなかった。

 米国でワクチンを接種した3万5691人の妊婦への調査によると、発熱や倦怠(けんたい)感などの副反応の頻度は、妊娠していない女性と同じ程度だった。

 接種後に妊娠した827人について流産や早産、胎児の発育遅延や先天奇形、新生児死亡をみても、接種していない妊婦と発生頻度は変わらなかった。

 ワクチンで不妊になることはあるのか。

 この疑問への回答は「不妊になるという科学的な根拠は全くありません」。今回の新型コロナも含め、ワクチンの接種が妊よう性(妊娠する力)に影響を与えるという事実はないという。

 実際に新型コロナのワクチンを接種して妊娠した人や、受精卵が着床する前にワクチンを接種して、妊娠が継続した人もいる。

 動物実験の結果も出ている。

 ラットに接種した実験では、接種したワクチンの成分は、ほとんど卵巣に到達しなかった。また、接種後に交配、妊娠させた実験では、接種群と非接種群で、妊娠率や生まれた赤ちゃんの数に差はなかった。

 妊娠中にワクチンを接種すると、赤ちゃんに免疫が移行するのか。

 学会によると、母親にできた抗体が胎盤を通って赤ちゃんに移行し、産後に赤ちゃんを感染から守る効果が期待できるという。

 ワクチンの成分や接種後にできる抗体は、胎盤に蓄積することはない。

 胎盤を形成するたんぱく質と、新型コロナウイルスのスパイクたんぱく質が似ているため、ワクチン接種でできた抗体が胎盤を攻撃するという情報が出回った。しかし、二つは似ておらず、実際にそのような反応が起きたことは確認されていないという。

 米国など一部の国では、妊婦はワクチンの優先接種の対象になっている。日本では対象になっていない。

 Q&Aをまとめた日本大学医学部の相澤志保子准教授(感染免疫学)は、「ワクチンを打ったからといってコロナウイルスに感染しないわけではないが、発症や重症化が抑えられると期待できる」と話す。

 ワクチンを接種しない場合のリスクとしては、どんなことがあげられるのか。

 相澤さんは、「妊娠後期に感染した場合の重症化のリスクと、それに伴う子どもの早産のリスクの二つがある」という。

 妊娠後期になっておなかが大きくなってくると、横隔膜が下から押し上げられ、動きが悪くなる。呼吸状態がふだんより悪いなかで、新型コロナに感染したときに、まれに肺炎が重症化してしまう場合があるという。

 新型コロナの治療のために、安全面に配慮して赤ちゃんを早産させる場合もある。国内では感染した妊婦が妊娠20週台後半で、帝王切開になった例もあったという。

 「赤ちゃんの立場になると、予定日よりすごく前に生まれてしまうのは、できることなら避けたい。重症化することで早産のリスクが高くなると言えます」

 相澤さんは、「Q&Aでは、情報源を示すことを意識した。正確でない情報も出回っているので、正しい情報を得て判断をしてほしい」と話す。

 Q&Aは、学会のホームページ(http://jsidog.kenkyuukai.jp/images/sys/information/20210721190701-57649255BD0A756A3E48F8FEB3D9AC5B55FDB9F89BB2D2EFC9C5AA308C98CC3D.pdf別ウインドウで開きます)から確認できる。(神宮司実玲)

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