中国、駐リトアニア大使を召還 「台湾代表処」設置受け

北京=高田正幸
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 中国外務省は10日、駐リトアニア大使を本国に呼び戻すとする報道官談話を発表した。リトアニアに台湾の事実上の大使館が「台湾代表処」の名で設置されることを受けた措置で、リトアニア政府に駐中国大使の帰国を要求するという。中国紙によると、中国が大使を召還するのは1995年、台湾の李登輝総統(当時)の訪米に抗議し、駐米大使を呼び戻して以来だ。

 台湾はこれまで、日米欧などに置く代表処に「台北」の名を用いてきた。中国外務省は10日の報道官談話で、リトアニア政府が「台湾」名の代表処を受け入れたことは「中国の主権を著しく損ねる」と激しく批判。台湾は中国の一部とする「一つの中国」原則を訴えた上で、リトアニア政府に決定の撤回を求めた。また、台湾に対しても「『独立』は破滅への道だ」と牽制(けんせい)した。

 バルト3国のリトアニアは中国と外交関係を結ぶが、最近は関係が悪化している。今年になって台湾に貿易事務所を開設すると発表し、中国のウイグル族に対する弾圧が「ジェノサイド」(集団殺害)だと非難する決議を議会が採択。中東欧やバルカン半島の17カ国と中国による経済協力枠組み「17+1」からの離脱も表明した。

 リトアニア外務省は10日、「『一つの中国』原則に沿いつつ、台湾と相互利益の関係を追求する決意だ」とする声明を発表した。これに対し、中国外務省の華春瑩報道局長は11日、「中国は正当かつ合理的な対応をする権利を有する」との談話を出し、リトアニアへの報復措置を強く示唆した。(北京=高田正幸)

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    佐藤優
    (作家・元外務省主任分析官)
    2021年8月11日10時21分 投稿
    【視点】

     リトアニアは、「台湾代表処」を設置することの政治的意味を十分に理解できていないように思えます。もっともリトアニア外務省は、「『一つの中国』の原則に沿いつつ、台湾と相互利益の関係を追求する決意だ」とする声明を発表しているので、政府内部に意見