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最期は会わせてほしかった あいまいな喪失の向き合い方

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阿久沢悦子
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 葬儀ができなかった、死に目に会えなかった、亡くなったのは私のせいか――。そんなコロナ下での死別に伴う遺族の悩みや苦しみを支えようと、グリーフ(喪失)サポートに取り組む団体が小冊子を作った。遺族らに無償で配布し、共感が広がっている。

 題名は「コロナ下で死別を経験したあなたへ」。東日本大震災でも遺族ケアにかかわった一般社団法人「リヴオン」(東京都荒川区)がクラウドファンディングで資金を集め、4月に1万部を刷った。7月末現在、遺族ら約3500人の手にわたった。

 代表の尾角(おかく)光美(てるみ)さん(37)は9年前、兄を亡くした。遺体は一人暮らしの自室で、死後数週間経って発見された。死因は不明。状態が悪く、警察で「見ない方がいい」と言われ、最期の対面ができなかった。「死の実感がわいてこない」。東日本大震災の遺族や不明者家族が抱える「あいまいな喪失」の難しさを身をもって知った。

 尾角さんは5年前から英国の大学院に在籍し、グリーフサポートの社会政策を研究している。欧米のメディアではコロナによる死者の人となりを伝えるコーナーができたり、医療従事者が患者や同僚を亡くすつらさを実名で訴えたりしてきた。一方、昨年帰国した日本では、偏見や差別を恐れ、多くの人がコロナによる死を公にしていなかった。「亡き人をしのび、語らうという大切な機会が奪われている」と感じた。

 人づてに国内の遺族や医療従…

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