東京五輪では、コロナ禍の中で開催した日本政治の判断が問われた。かつて自民党と民主党の両方の政権で閣僚を務めた田中真紀子さん(77)は、どう見ていたのか。
――今回の東京五輪は何を残したのでしょう
多くの選手が与えてくれた素晴らしい感動と、日本政府のあいまいで無責任な態度の対比が鮮烈でした。
東京五輪にはコロナの感染拡大より前から反対でした。商業主義で肥大化した五輪を財政難の日本が受け入れること自体が問題だからです。招致を進める政府への不信を強めたのが、安倍晋三首相が2013年に、福島第一原発の汚染水は「アンダーコントロール(管理下)」だと世界にアピールしたことです。
そんなごまかしで五輪を招致しておきながら、処理済みとはいえ汚染水を「コントロール」しきれなくなり、今年になって後継の菅義偉首相が地元や海外の反対を顧みずに海洋放出する方針を決めています。コロナ禍の中での五輪開催も、同様のごまかしでした。
――東京をはじめ各地に政府が緊急事態宣言を出す中での開催となりました
今は都内の一主婦ですが、昨年に五輪が延期された時よりもコロナは相当身近になってきています。感染したり、別の持病が悪化してもすぐに入院できなかったり、がんの手術を受けられなかったりという知人がいます。そんな時に世界最大のスポーツイベントを開いたらどうなるか。
コロナ禍で世論が分断された中、東京五輪が幕を閉じました。識者は今、どう考えているのでしょうか。寄稿やインタビューでお伝えする連載です。
例えば町内会の盆踊りの音が…
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