第4回一人勝ちの独経済…メルケル氏、破綻したギリシャを手玉

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アテネ=野島淳
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危機の宰相 メルケル氏の遺産(4)

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ギリシャ中央銀行の「ギリシャ」の文字を線で消し、代わりに「メルケル」と赤字で落書きしてあった。メルケル独首相の銀行という皮肉か=2015年7月6日、アテネ、矢木隆晴撮影

 7月上旬のアテネ中心部の商店街では新型コロナウイルスの感染拡大も収まり、人通りも戻っていた。だが、時計や家電の小売店を営むセーミス・アレクソプロ(52)の顔は浮かない。「混乱しただけで、この国は何も変わらない。弱い者を助ける政治はなく、朝から晩まで働くだけだ」

 米誌フォーブスで「世界で最も影響力ある女性」に10年連続で選ばれてきたメルケル首相が9月の総選挙に立候補せず、引退する。難民危機で失った国内の支持は回復。コロナ危機やユーロ危機、ウクライナ危機など数々の危機で、解決に向けた議論の中心にいた。「危機の宰相」は何を成し遂げ、何を次世代に託すのか。

 2010年以降、ギリシャ財政破綻(はたん)し、混乱した。信用不安はユーロ圏の他の国にも波及。「ユーロ危機」と呼ばれた。欧州連合(EU)などから繰り返し財政支援を受ける代わりにギリシャに求められたのが、年金や給与の削減などの厳しい緊縮策だった。

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アテネの国会前で2015年2月11日、反緊縮財政デモで、ドイツのメルケル首相を批判するスローガンを掲げる女性=ロイター

 「私もデモに参加したよ」とアレクソプロは6年前を振り返る。街頭に繰り出した人たちは、EUが押しつける緊縮策を主導するのはEU最大の経済大国ドイツとみなした。ドイツ国旗が燃やされ、首相のメルケルをヒトラーに見立てたプラカードも現れた。

 アテネで30年以上暮らし…

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