名水の森、短い夏の「命」輝く 産山村・山吹水源

城戸康秀
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 大分県のくじゅう連山の南、熊本県産山村の「山吹水源」は動植物が生命の輝きを放つ短い夏を迎えている。熊本名水百選にも選ばれている清らかな水。藻やコケに彩られた池の水面は周囲の木々や夏空を映し、訪れる人たちは緑の中で涼を得ている。

 産山村の北端、高原から下った谷に水源はある。駐車場から池まで川沿いに遊歩道を歩くとヒグラシの大合唱に包まれる。緑陰が深まる道沿いにまず現れるのは、ヒガンバナの仲間キツネノカミソリの群落。オレンジ色の花が30~50センチの高さで木漏れ日を浴びて揺れる。

 水道と農業用水のためにつくられた池にはアブラメなどの魚がすみ、透明度の高い水中を泳ぐ姿が手に取るように見える。その上をミヤマカワトンボが飛び交う。大きな茶色の羽。オスの長い腹部は青く輝き、雌雄2匹が時折誘い合うように舞い飛んでいた。

 風の届かない鏡のような水面にはこけむした木々が映り、池の縁に立って互いの姿をスマホのカメラで撮るカップルの姿も見られた。(城戸康秀)