「鬼滅」は漢字の挑戦、中国出身の声優・劉セイラさん

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聞き手・富田洸平
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 「鬼滅の刃」の登場人物たちの難しい漢字を子どもたちが読めるようになったり、最近、漢字への関心が高くなったようです。では、中国の人は日本の漢字をどう見ているのでしょうか。中国出身で日本で声優や漫画家として活躍している劉セイラさんに聞いてみました。(聞き手・富田洸平)

 日本と中国で同じ漢字なのに違う意味の言葉は多くあります。よく言われるのは「手紙」。中国では「トイレットペーパー」の意味しかありません。教材にされることもあるので、中国語を勉強したことがある人は聞いたことがあるかもしれません。ほかには「我慢」。これは、「私は遅い」という意味です。あとは「勉強」。「本当はできないけれど無理やりなんとかする」という意味があって、日本語の「勉強」も言い得ているなと思います。

 北京外国語大学で日本語を学んで日本に留学、大学卒業後に声優になるため再来日しました。カタカナの外来語は覚えるのが大変でしたが、漢字の意味の違いで苦労することはありませんでした。

 みなさんは、漢字の形を見てイメージをすると思います。「暑い」「厚い」は同じ読みですが、文字が意味を持っていて、見た瞬間に理解できる。中国でも同じ読みで違う意味の漢字は多くあります。だから、私は小説も漢字がたくさんある方が意味が入りやすいので好きです。

 日本で声優をしていても、漢字のイメージは大切だと感じます。原音が英語などの作品では、登場人物の名前はトムやジェニーなどですが、日本語の作品だと「えり」という名前でも「絵理」や「英利」など色々あります。おとなしいのか、鋭い感じなのか、その人のキャラクターがちょっと思い浮かぶんです。

 名前の漢字だけでその作品の…

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    磯野真穂
    (人類学者=文化人類学・医療人類学)
    2021年8月22日21時1分 投稿
    【視点】

    人類学者のグレゴリー・ベイトソンは情報のことを「差異を作る差異」と端的に定義しました。 情報というと、新聞記事のように一式の文章とイラストのセット、というイメージを持つ方が多いと思います。しかしここにあるように、「鬼」という漢字一文字