第4回迷走の開会式、にじんだ不透明さ「昭和のやり方の弊害」

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編集委員・後藤洋平、野村周平、古庄暢、飯島啓史
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 東京五輪の開会式を4日後に控えた7月19日、式で流す楽曲の制作メンバーの一人である小山田圭吾氏が辞任した。

 「もう時間がない。私が作ります」

 関係者によると、小山田氏の辞任が決まったことを受けて今後の方針を話し合う会議で、音楽監督の田中知之氏が差し替えの曲を制作すると申し出た。オープニングで使用される約5分間の、重要な2曲だった。

 演出は細部まで組織委員会の承認やテレビの生中継に合わせた調整などが必要だった。結局、田中氏は一睡もせず、ほぼ1日で曲を作りあげたという。

 演出チームの布陣が発表されたのは7月14日。同級生や障害者をいじめていたという過去のインタビュー発言が問題視され、小山田氏は2日後に自身のツイッターで謝罪。組織委は「現在は高い倫理観を持っている」として続投させる方針だった。だが批判は収まらず、海外メディアも「虐待」などと報じ、辞任に追い込まれた。

 関係者によると、小山田氏の問題が明らかになった後、演出陣や出演者らの過去の言動の本格調査が急きょ始まった。ところが今度は、演出の全体調整を担うディレクターの小林賢太郎氏が、ナチスによるホロコーストユダヤ人大虐殺)を揶揄(やゆ)する表現を用いていた過去のコント動画がネット上で拡散。米国のユダヤ人人権団体が非難声明を出す事態となり、小林氏は式前日の22日に解任された。

朝日新聞が入手した、発売中止になった開会式の公式プログラムのコピーには、運営責任者の苦しい胸の内が吐露されていました。繰り返された「オールジャパン」というかけ声の裏で、覆い隠されてきたものは何か。記事後半では、響かない理念と現実がちぐはぐになっていく過程を追います。

「あのプログラムが世に出ていれば…」

 開会式の構成は変更されなか…

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