カナダ人懲役判決「偶然ではない」 孟氏の審理が大詰め

ニューヨーク=中井大助
[PR]

 中国の裁判所が11日、カナダ人被告に中国の国家機密を探って国外に提供したとして懲役11年の判決を言い渡したことを受けて、カナダのトルドー首相は「全く受け入れられず、正義に反する」と声明を出した。カナダ側が強く反発するのは、カナダで進む中国人の大手企業幹部の裁判が大詰めを迎えており、中国が裁判を政治的に利用したとみているためだ。

 被告のマイケル・スパバ氏は、中国の通信機器大手・華為技術ファーウェイ)の孟晩舟副会長が2018年12月、米国の要請を受けたカナダによって身柄拘束された直後、中国に拘束された。米国は孟氏がイランにある華為の関連会社について「取引先だ」と金融機関に虚偽申告をしたとして銀行詐欺と通信詐欺の罪で起訴し、身柄の引き渡しを求めている。

 カナダの裁判所は20年5月、米国の起訴内容が、カナダでも罪に当たると判断。孟氏を米国に引き渡すかどうかをカナダ・バンクーバーの裁判所が審理しており、今月3日から最終弁論が始まっている。

 孟氏の弁護側は無罪を主張し、全面的に争っている。しかし、引き渡し請求は通常の刑事裁判よりも立証のハードルが低く、認められないことは珍しい。カナダ政府の統計によると、08~18年度に米側から798件の引き渡し請求があったのに対し、カナダの裁判所が棄却したのは8件だけだった。孟氏の引き渡しについて、裁判所が判断するまでは、さらに数カ月かかるとみられる。

 そうした中で、中国は10日に麻薬密輸の罪で死刑判決を受けたカナダ人男性の上訴を棄却。そして翌11日にスパバ氏への判決を言い渡した。AFP通信によると、カナダのバートン駐中国大使は11日、「(孟氏の)審理が続いている間に、この二つの判決を聞いたのは偶然だとは思わない」と述べたほか、野党・保守党の党首も10日、「政治的な判断だ」と中国側を批判している。(ニューヨーク=中井大助