智弁学園・西村、選抜以来の隠し球 90km台のカーブ

米田千佐子
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(11日、高校野球選手権大会 智弁学園10-3倉敷商)

 先発した左のエース西村王雅(おうが)(3年)は、春の選抜大会後に一度も試合で使っていなかった「隠し球」を効果的に交ぜ、倉敷商打線を翻弄(ほんろう)した。三塁は一度も踏ませなかった。

 六回、先頭打者への初球はゆらゆらと山なりの軌道でミットに収まる。1ストライクとすると、3球連続チェンジアップで投ゴロに仕留めた。次の左打者はカーブで二飛、3人目も左打者で、カーブで二ゴロ。

 「隠し球」は90キロ台の緩いカーブだ。中盤はカウントを稼ぐのに多投した。終盤は逆に直球主体で緩急をつけ、タイミングを狂わせた。8イニングのうち4イニングを打者3人で終え、95球でマウンドを藤本竣介(2年)に譲った。

 スライダーの調子が悪く、カーブとカットボールに切り替えた。カーブは自分に合わないと感じたこともあったが、初戦で成果を得て、「大事だなと気付かされた」。自信になった。

 小坂将商監督は「大人のピッチング。今までで3本の指に入るんじゃないですか」と手放しでほめた。主将の山下陽輔(3年)は「本当に集中して、最初0点でいってくれて、野手からしたらテンポよく、一番守りやすい形のピッチングだった」。

 八回を終えた後、ベンチで小坂監督に「どうしたい? 代わるか?」と尋ねられ、少し考えて「代わります」と答えた。10点リード。完封も頭をよぎったが、「2年生にマウンドを託したいと思いました」。

 こだわるのは、自分の成績ではなく、チームの勝利だ。二枚看板として高め合い、支え合う小畠一心(いっしん)(同)と2人で大舞台を経験してきたからこそ、2年生にも経験を積ませたい。「甲子園はすごくいい舞台。野球ができる喜びを感じてプレーしたい」(米田千佐子)