東北学院、走者一掃の先制打 挫折からの野手転向が奏功

近藤咲子
[PR]

 甲子園初出場の東北学院は11日、大会2日目の第4試合で愛工大名電(愛知)を5―3で下し、初陣を勝利で飾った。立ち上がりから投打がかみ合った。長打で先行し、名門校の追い上げを振り切った。2回戦は17日午前10時半から、松商学園(長野)と対戦する。

 挫折に耐えた一振りが、流れをぐっと引き寄せた。

 無得点のまま迎えた三回、2死満塁の好機で打席に立った山田将生(しょうい)君(3年)は、「絶対、先制点を取る」と意気込んでいた。

 初球を空振りすると、指1本分ほどバットを短く持ち直した。「コンパクトに振って内野の頭を越そう」。5球目。低めの変化球にくらいつくと、打球は狙い通り中堅へ。二塁にすべりこみ、悪送球のすきに三塁まで進んでベンチに拳を振り上げた。

 この日は左翼手として出ていたが、今春の県大会前までは投手だった。中学から投手を任され、エースナンバーをつけたこともある。

 高校に入ってから制球力をつけようと試行錯誤を続けた。昨年春のコロナ下での自粛期間中には、毎朝10~15キロの走り込みで下半身を鍛えた。だが、投手としての出番はなく、その年の秋の県大会は代打で1試合に出ただけ。

 「チームの力になれていない」。落ち込む山田君を救ったのは、打撃陣の練習メニューのまとめ役、及川健成君(3年)の一言だった。

 昨秋の大会後のミーティングで、「山田は外野をやるべきだ」と全員の前で推してくれた。及川君は、180センチ超の長身が生み出す打撃力を見込んでくれていた。

 投手への未練はあったが、「自分を求めてくれるなら」と切り替えた。冬はバットを振り込んだ。制球力をつけようと鍛えていた下半身は、そのまま長打力に生きた。春の県大会では打率4割超を記録した。

 耐え抜いた先につかんだ夢舞台で、先制打を含む2本の長打で4打点の活躍をみせた。試合後、「みんながつないでくれたチャンスを生かせた。よかった」とほっとした表情を見せた。(近藤咲子)