米軍の枯れ葉剤散布60年 広島のシンポでドクさん語る

比嘉展玖
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 ベトナム戦争で米軍が初めて枯れ葉剤を散布した日から60年となった10日、東広島芸術文化ホールくらら(東広島市)でシンポジウムがあった。市民団体「広島ベトナム平和友好協会」(同市)が主催し、市民約80人が会場とオンラインで参加。ベトナム在住で枯れ葉剤被害者のグエン・ドクさん(40)が今も残る被害の現状などを語った。

 ドクさんは、1981年、枯れ葉剤の影響とみられる結合双生児として生まれた。下半身の一部がつながった「ベトちゃん、ドクちゃん」の弟で、日本の支援で分離手術を受けた。2016年、広島ベトナム平和友好協会の招待で初めて広島を訪れた際には「原爆と枯れ葉剤の被害は、次世代まで残るという恐ろしい共通点がある」と語った。

 この日、オンラインで参加したドクさんは被害者の現状について、「政府の援助も少ないため生活が苦しい。自分の力で努力するほかない状態だ」と説明。「ベトナム内では戦争の被害がだんだんなくなっていると思われている。事実を次の世代に伝えていかないといけない」と訴えた。

 ベトナムの枯れ葉剤被害者とその家族らを記録し続けている映画監督の坂田雅子さん=群馬県在住=は「最近では第4世代の被害や障害のある子の面倒を見てきた親の高齢化などの問題もある」と強調した。

 会場で耳を傾けた東広島市の女性(73)は、原爆投下後に降った「黒い雨」の被害をあげ、「全ての戦争被害者を救うまで戦争は終わっていないと感じた。戦争の被害にちゃんと向き合う機会をもっと作っていかなければいけない」と話した。会場では枯れ葉剤の歴史や、ベトナムと広島の交流などを紹介するパネル展が12、16日に開かれる。(比嘉展玖)