雨でノーゲーム 次戦は1イニングの貸しがないように

編集委員・安藤嘉浩
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 今大会屈指の大型右腕と評判の明桜・風間球打(きゅうた)が、雨の中で投げる姿を見ながら、幼い頃にテレビで見た試合を思い出していた。

 「雨に泣いた怪物」と記憶される一戦だ。第55回大会(1973年)、作新学院(栃木)の江川卓が雨の2回戦で、延長十二回に押し出し四球を与え、0―1で銚子商(千葉)に敗れた。

 銚子商は徹底的に江川対策をし、天候による影響まで調べていた。「曇りで湿気がある日は絶好調、晴天で暑い日は調子が落ちる。最も苦手なのは大雨」。下半身を使って投げる速球派の江川は、足元が緩いと安定感がなくなるからだ。

 明桜の風間はこの日、足元をほとんど気にしていなかった。阪神甲子園球場のマウンドは、一昨年から粘土質の黒土「ブラックスティック」を使った硬めのつくりになっている。高校野球の時は、体に負担がかからないよう、阪神園芸が表面を3センチ削って黒土を入れているが、それでも以前に比べれば、足元の滑りは緩和されている。

 四回まで無安打。雨の中でも風間は実力を発揮できていたと思う。一方でこのまま進んで、試合が成立したとしても、七回や八回でコールドゲームにならないよう願っていた。

 第70回大会(88年)の1回戦。高田(岩手)は八回裏途中で降雨コールドとなり、滝川二(兵庫)に3―9で敗れた。作詞家の阿久悠さんはスポーツニッポン紙上の連載で「きみたちは/甲子園に一イニングの貸しがある」とつづった。

 明桜―帯広農は四回終了時点でノーゲームとなった。13日も天候は思わしくないようだが、仕切り直しの試合では雨に泣くことも、1イニングの貸しもないよう祈りたい。(編集委員・安藤嘉浩