甲子園、雨が生むドラマ リードしていたチームが不利?

山口裕起
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 恵みの雨か、それとも――。夏の甲子園では過去に雨がドラマを生んだ。

 気まぐれな空が明暗を分けたのが、2009年の第91回大会1回戦だ。如水館(広島)―高知は、大会史上初の2試合連続で降雨ノーゲームとなった。

 8月9日、如水館が2点をリードして三回が終了。ここで雨が激しくなって一時中断し、そのままノーゲームになった。仕切り直した翌10日、如水館は先行されたものの四回に逆転し、3点のリードを奪った。五回、高知が2点本塁打で1点差に迫り、なお1死一塁の場面で試合途中に降り出した雨が強まり、続行できなくなった。

 11日の3度目の対決。展開は一転した。高知が序盤からリードし、1点差に追い上げられた直後の七回は、打者9人の攻撃で5点を奪って突き放し、9―3で勝利した。

 高知のエース公文克彦は最初の2日間で「計8点」を失った。マウンドが乾いた3日目はまるで別人だった。左腕からの最速144キロの直球と鋭く曲がるスライダーで14三振を奪った。公文は後にプロに進み、振り返った。「最初の2試合は思ったところに球がいかなかった。ノーゲームになってラッキーだった」

 03年の第85回大会の雨は駒大苫小牧(南北海道)にとって躍進のバネとなった。8月8日、1回戦の倉敷工(岡山)戦は四回途中まで8―0とリードしながらノーゲームに。翌9日は2―5で敗れた。糧にした。翌04年、雪辱を果たそうと2年連続で甲子園に乗り込み、全国制覇を果たした。05年には大会2連覇を遂げた。

 戦後の全国選手権で、ノーゲームとなったのは12日の明桜―帯広農で11カード目。過去10カードをみると、互いに無得点だった2試合を除き、仕切り直しの一戦はリードしていたチームの方が3勝5敗とやや分が悪い。

 ノーゲームを経験した指導者たちは当時、こう語っている。高知・島田達二元監督は「失うものがないから負けていた方が有利じゃないですか」。倉敷工・和泉利典元監督も「一度負けているので、それよりいい試合をすればいいと開き直って自分たちの力を発揮できた」。

 明桜と帯広農。12年ぶりとなる仕切り直しの一戦には、どんなドラマが待っているだろうか。(山口裕起)