遺体から切り取った2本の指 私が陸軍病院でした仕事

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構成=編集委員・石橋英昭
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 仙台市青葉区の斎田トキ子さん(96)は、看護師として派遣された中国・上海の陸軍病院で、ひとり任された仕事がある。亡くなった傷病兵を土に埋め、切り取られた指2本分の骨を、小箱に納めて大事に保管することだった。

     ◇

 日本赤十字社の看護師になり、仙台の病院に配属されて4カ月目の1944年2月、召集令状が届きました。中国で戦時救護に当たれと。「名誉なこと。お国のためにがんばらなければ」。純粋な18歳でした。

 上海第一陸軍病院はとても大規模な病院でした。南京、成都、武漢、重慶などから傷病兵が次々移送されてきました。

 講堂に数百もの担架が並ぶ。私たちは将兵の全身をふき、白衣に着替えさせるんですが、衣類にノミやシラミ、南京虫がいーっぱいついている。最後に床掃除をすると、大きなちりとり2杯にもなります。宿舎に戻って今度は自分の制服から虫を取り除き、指でつぶすのに一苦労でした。

 伝染病棟では8カ月勤務しました。マラリアや腸チフスの高熱でうめく人、下痢を続けて苦しむ人、まるで生き地獄です。累々と積まれた便器の煮沸消毒に追われる毎日。夜中、脳症で外へと出て行ってしまう患者を捜しに行くのも、私たちの仕事でした。

 それでも、この戦争は勝たな…

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