凄腕しごとにん
ウェルネスライフサポート研究所 代表取締役 加倉井さおりさん(53)
医療従事者に感謝を伝えよう――。そういって拍手を送るとき、思い浮かべるのは医師や看護師の姿だ。だが、医療が担うのは治療だけではない。生活習慣や日ごろの体調に関心をもってもらおうと、保健師らが健康指導をする。働き方の相談にも応じるのは、過労死やストレスによる自死をくい止めるため。これも大事な役割だ。
こうした分野は、仕事の手ごたえを得にくいとされる。ケガの治療のように結果がすぐに見えることが、あまりないからだ。
「たった30分間の相談でも、その後の相手の人生を変えられる。自分が持つ光に気づいてほしい」。思い悩む保健師らを支えようと、スキルアップのためのセミナーや連続講座を開いてきた。送り出した受講生は1万人以上になる。
自らも保健師として、財団法人で18年近く勤務した。おもに企業や役所に出向いて健康教室を開く業務をまかされてきた。豊富な経験にもとづくノウハウは、具体的かつ実践的だ。
「介護予防教室」を開くなら、「教室名が重要。『いきいき! シニア塾』など参加したくなるものを考えて」と説く。参加者にしっかりと聞いてもらうために、表情や抑揚、間のとり方などを重視した話し方も教える。
禁煙に失敗した人からの相談には、「挑戦したことがすばらしい」「報告をもらえてうれしい」といった言葉で応じ、相手の努力を認めるよう勧める。自らの変化や成長に目が向くようになり、努力を続ける意欲を持ってもらえるからだという。
受講生には積極的に意見を求…