マレーシア首相に退陣要求 やまぬ政争、存在感増す国王

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シンガポール=西村宏治
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 新型コロナウイルスの感染拡大が続くマレーシアで、昨年3月から政権を担うムヒディン首相の辞任を求める動きが勢いを増している。与党側で首相を支えてきた国会議員からも同調者が出て、国会で不信任を問う構えをみせる。コロナ対策も理由に国会の動きを封じてきたムヒディン政権だが、国王も早期の開会を求めており、不信任の審議の先送りは難しい状況だ。

 「ムヒディン内閣は退陣せよ!」。築120年を超える時計塔に面する、クアラルンプールのムルデカ広場。国の独立を記念するこの場所に8月2日、野党連合のリーダーのアンワル元副首相や、マハティール前首相ら国会議員が集まり、横断幕を掲げて叫んだ。

 きっかけは、国会開会をめぐる駆け引きだ。ムヒディン政権は支持基盤が薄く、昨年は国会(下院)で、法案や予算を数票差で通す綱渡りを強いられた。下院での支持が過半数を割れば、首相は解散総選挙内閣総辞職を迫られる。

 それを見越して揺さぶりをかけたのが、首相を支えてきた統一マレー国民組織(UMNO)のナジブ元首相の一派。政権内での発言力を高めようと、造反をちらつかせてきた。

 これに対して政権側は今年1月、コロナを理由に非常事態を宣言。8月1日まで、国会審議なしで政策を実行できるようにした。

 反発した野党やUMNOから、国会開会の要求が高まる中、動いたのが国王だった。6月初めに与野党の指導者と面会。「できるだけ早く国会を開くべきだ」と声明を出した。

 さらに6月29日には上下院議長に会い、8月1日までに国会を開くよう求めた。国王の発言の影響力は、各党とも無視できない。

 最終的に国会が開かれたのは7月26日。8月1日までとされていた非常事態宣言の効力停止などが論点になりそうだったが、政権側は突然、7月21日に非常事態は解除されたと説明し、議論を避けた。

 ここでも国王が動いた。7月…

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