夫失い、孤独な育児 御巣鷹尾根の「家族」がいてくれた

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川野由起 張春穎、小泉信一 松田果穂
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 乗員乗客520人が犠牲になった日航ジャンボ機墜落事故から36年。現場となった群馬県上野村御巣鷹の尾根では12日、遺族らが慰霊に訪れた。「家族が増えたよ」「今年も元気で来たよ」――。それぞれの思いを抱きながら最愛の人をしのんで、遺族らが墓標に手を合わせた。

 夫の孝之さん(当時29)を亡くした大阪府豊中市の小沢紀美さん(65)は、長男の秀明さん(35)=兵庫県芦屋市=と登った。知り合いと会うたびに「今年も来られてよかった。また1年がんばりましょうね」と声をかけ合った。

 事故当時、秀明さんはおなかの中にいた。病院で周りの母子には夫が会いに来ていた。1人で寂しさに耐えた。1歳半のころ、よちよち歩きの秀明さんが笑いかけてきた。その笑顔にハッとした。この子が頼れるのは私しかいないのに。少しずつ「お父さんが欠けているんじゃない。2人が家族の形なんだ」と思えるようになった。

 毎年の御巣鷹の尾根でも「家族」は増えた。秀明さんをおぶって登り始めてから、会うたびに「秀ちゃん、大きくなったねえ」と遺族が見守ってくれた。災害や他の事故の遺族とも出会えた。「1年に1度会う大きな家族みたい。大切な人を思う気持ちはみんな一緒だから」

 3年前に秀明さんも結婚した。「御巣鷹では520人みんなが一緒になって待っている。だから私たち家族もみんなで会いに行く」

 12日、墓標には孝之さんの好物だったビールとたばこを供えた。悲しみはなくならない。でも、孝之さんが最後にいた場所だから、今は御巣鷹がいとおしい。「ゆっくりって言われたけど、結局私が先に歩いたよ」と紀美さん。たばこを吸わない秀明さんがくわえてみせた。むせて、笑い合った。(川野由起)

厳しい体力、それでも登った

 大切な家族のことを感じたいと、今夏も御巣鷹の尾根群馬県上野村)には遺族の姿があった。

 東京都世田谷区の池田典正さ…

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