国内のコロナ重症者1478人 最多更新、病床ほぼ枯渇
厚生労働省は13日、国内の新型コロナウイルス感染症の重症者が12日時点で1478人になったと発表した。春の「第4波」のピークで記録した1413人を上回り、過去最多を更新した。東京、神奈川、千葉、埼玉の1都3県や沖縄県などでは重症者用の病床がほぼ枯渇しており、必要な医療を受けられずに自宅や療養施設で亡くなる人が増える恐れがある。
全国の新規感染者は13日、初めて2万人を超えた。最近1週間で10万人を超えており、感染拡大を直ちに抑え込まなければ、重症者の更なる増加は必至だ。
厚労省は、集中治療室などでの管理や人工呼吸器が必要な患者を「重症者」としている。都道府県別では、大阪府が422人で最も多く、東京都218人、神奈川県192人、埼玉県107人、沖縄県97人、京都府74人と続く。愛知県は21人、福岡県は16人となっている。
ただ、東京都は集中治療室に入った人が必ずしも重症者ではないなどとして、人工呼吸器か体外式膜型人工肺(ECMO)を着けた人に限っており、厚労省の定義に沿うと、11日時点で947人が重症だ。
第4波では、400人から1千人増えて1400人に達するまで53日かかったが、今回は20日しかかかっていない。ワクチン接種が進んで高齢者では重症化が抑えられてきたが、ワクチンの未接種が多い世代で爆発的に感染者が増え、都内の重症者は50代以下が7割を占める。
内閣官房のまとめでは、12日時点の重症病床の使用率は東京都で81%、神奈川県で96%。すぐに入れる病床は乏しくなっており、神奈川県で患者の搬送調整に当たる職員は「重症病床の空きは、ほぼない。空いたらすぐ埋まるという繰り返し」と危機感を募らせる。
東京都の入院調整本部には10日、重症者75人について依頼があったが、50人はその日のうちに入院先が見つからなかった。都立・公社病院で確保した重症者用の約80床も、ほぼ埋まっているという。
千葉県の熊谷俊人知事は12日夕、報道陣の取材に応じ、「現在起きていることは見えにくい大災害だ」「医療現場の危機的状況が、なかなか一般の方に伝わらない」と話した。県内では4割ほどが空いていることになっている重症病床は、入院中の中等症患者が重症化した時に備えたものだといい、「もうすでに満床だと思った方がいい」と訴えた。(茂木克信、池上桃子、高室杏子)
有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。

新型コロナウイルス最新情報
最新ニュースや感染状況、地域別ニュース、予防方法などの生活情報はこちらから。[もっと見る]