「人気先行」嫌だった 藤田菜七子が歩んだ5年間

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松本龍三郎
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 勝負の世界に身を置いて6年目になる。

 今なら「女性騎手として注目されることを受け入れられる」。結果を残してきた自負があるからだろう。

 藤田菜七子。5年前のデビュー時にあどけなさが残っていた彼女は、24歳。プロの勝負師の顔になっていた。今だから、新人だった18歳当時を、冷静に振り返れる。

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 「同期と一緒にデビューしただけなのに、自分だけが注目された。どうしたらいいのか分からないことが多くて……。女性騎手って言われるのが少し嫌だった」

 デビューしたときは、“フィーバー”の真ん中にいた。

 日本中央競馬会(JRA)で16年ぶりに誕生した女性騎手。競馬場には、目当てのファンやマスコミがわんさか押し寄せた。

 勝っても、負けても、落馬をしても話題に。いきなりプロ野球のオープン戦で始球式を任され、地方競馬場で騎乗馬のゼッケンが盗まれる事件まで起きた。

 「私は一人の騎手としてデビューしたんだから、と思っていました」

 戸惑いながらスタートした騎手人生。勝つことで周囲からの見方を変えてきた。

 新人年は6勝に終わったが、2年目の2017年は14勝を挙げて、JRA女性騎手の年間最多勝利記録を更新した。19年には、JRAの女性騎手では初となる、最高峰のGⅠレース騎乗や重賞制覇。この年は43勝を挙げ、男女合わせて百数十人いる騎手の中で、勝利数は26位に。トップレベルのジョッキーに交じっても、十分戦えることを証明した。それでも、「ナナコが――」と、アイドルのような扱いを受けたことも多々あった。

 競馬界は男社会だ。馬主、厩舎(きゅうしゃ)、騎手を見てみても、男性ばかり。現役の女性ジョッキーは、地方競馬を合わせてもわずかに15人。ただし、藤田自身は女性進出の象徴になろうと考えているわけではない。

 「男社会だから大変というと…

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