用意周到のタリバン、士気低い政府軍 続く陥落ドミノ

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バンコク=乗京真知 ワシントン=高野遼
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 アフガニスタンから米軍が撤退する8月末の期限を前に、同国の情勢不安に拍車が掛かっている。力の空白を突いて反政府勢力タリバーンが次々に主要都市を制圧。米バイデン政権の撤退方針は揺るがず、米国の後ろ盾を失ったアフガン政府軍の敗色が日ごとに濃くなっている。

 州都への一斉攻撃が始まったのは8月初めだが、各州都を制圧する準備は2カ月前から始まっていた。

 「タリバーンは長老や宗教指導者をすでに丸め込んでいた」。12日夜に陥落した西部ヘラート州の州都で、アフガン政府軍とともにタリバーンに反撃していた地元軍閥のジャマル・ナシール・ハビビ幹部(45)は、朝日新聞助手の取材にこう語った。州都制圧には事前の「根回し」があったという証言だ。

 ハビビ幹部によると、タリバーンは6月ごろから地域の有力者である長老らを説得。長老らとともに州政府高官や軍閥トップのもとを訪ね、「近く州都を占拠するが、衝突は避けたい」と伝えてきた。安全を保証する代わりに「無血開城」せよという、落としどころの提案だった。ヘラートの軍閥は提案を拒んで約2週間戦ったが、タリバーンの勢いが勝った。

 軍閥がいない州都では目立った戦闘もなく陥落するケースが続いた。流血を避けるため、州知事らがタリバーンの提案をのんだ模様だ。12日に陥落した中部ガズニの州知事は、水面下でタリバーンと交渉したとして捜査当局に拘束された。

 タリバーンは戦術の面でもうわてだった。数千人の米軍が残っていた4月までは攻撃を控え、米軍が完全撤退に向けた動きを本格化させた5月に農村部を掌握。6~7月は国境検問所や物流拠点を押さえ、徐々に州都を包囲した。当初は南部や西部の州都を攻め、政府軍の特殊部隊が投入されたところで、手薄になった北部を一気に攻めた。

 この8日間でタリバーンは17州都の制圧を宣言した。全国の34州都の半数を掌握したことになる。

 タリバーンは占拠した各地の軍基地や警察署から、兵器や軍用車を大量に奪い取り、刑務所から収監中のタリバーン戦闘員を脱走させることで、日増しに勢力を増している。

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