8m超の義足ジャンパー、オリパラの境界を越える挑戦

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榊原一生
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 そのパフォーマンスに考えさせられることがある。健常者と障害者の違いは何なのか――。右足に競技用義足をはめて助走し、義足で踏み切ってジャンプし、8メートル先に到達する。オリンピック(五輪)金メダリストの記録を超える跳躍力と道具を扱う技術を兼ね備えた彼は、この東京で五輪出場を熱望していた。

 彼とは、陸上男子走り幅跳びパラリンピック3連覇を狙うマルクス・レーム(32)=ドイツ。6月の大会で8メートル62をマークし、自身が持つ世界記録を更新。この記録は東京五輪の優勝記録を21センチ上回る。

 レームは7月、国際オリンピック委員会(IOC)に東京五輪出場を拒否されたことを受け、スポーツ仲裁裁判所(CAS)に提訴した。だが、前回のリオデジャネイロに続き、五輪への道は開かれなかった。

銃を突きつける行為

 CASへの訴えは本意ではない。五輪とパラの共存を望むレームにとって「(五輪界に)銃を突きつける行為」だった。

 なぜ強硬手段に出たのか。2年前の夏、来日したレームはこう語っていた。

 「僕はただ、五輪の舞台でみんなと一緒に跳びたい。メダルはいらない。健常者と障害者の垣根を低く、より近づけて一緒に競技をすること。それが僕の夢」

 レームの行為は、スポーツ界での共存を、多様性を認め合う社会につなげたいとの願いでもある。

 五輪出場のハードルとなった…

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