西日本短大付支える裏方 打者の好不調判断しアドバイス

吉田啓
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 福岡代表として甲子園で戦う西日本短大付の野球部員は71人。ベンチ入りしたメンバー18人以外の部員たちも、チームを支え、役割を果たしている。打撃投手を務めてきた2人の3年生、蘭(あららぎ)拳太朗君と三島拓巳君も、チームに欠かせない存在だ。

 蘭君は俊足堅守の外野手だ。今春まではベンチに入っていたが、けがで外れた。6月下旬に発表された福岡大会のメンバー20人には入れなかった。悔しくて、やりきれない思いがこみ上げた。

 だが、西村慎太郎監督がよく口にする「誰かのために動けるようになれば、人としてもっと強くなれる」という言葉を思い出した。送球がきれいだとほめられていたことから、打撃投手をしようと思い立った。

 次の日の打撃練習から黙々と投げ始めた。ボールにスピンをかけてコースも投げ分ける。試合で実際に打者が立ち向かう、キレや勢いがある「生きた球」を投げようと心がける。

 投手の三島君は、1年生のときから打撃投手を務めてきた。

 チーム内の競争は激しく、試合で登板する機会は限られていた。グラウンドと室内練習場で最大12人が同時に打撃練習できるため、打撃投手は常に不足気味だ。多くの球を投げることで投手として成長出来るのではと、買って出た。

 打撃投手を続けるうちに、ボールに指がかかり、キレの良い投球が出来るポイントをつかんだ。そうして投球術を磨いたが、ベンチ入りはかなわなかった。

 悔しかったが一晩で気持ちを切り替えた。翌日もこれまで通り、練習で打者に向かって投げ続けた。ミートが難しい外角低めを基本に、ときおり内角も突き、打者の実践感覚を磨く。

 打者をよく観察しているから、好不調はすぐに分かる。悩んでいるなと思えば、打撃練習が終わった後に気付いた点を助言する。

 全体練習に自主練習。2人が1日に投げる球数は200を超えた。毎日へとへとになるが、それでも仲間のために腕を振り続けた。

 福岡大会で、チームは打撃好調で何度も集中打を見せた。仲間が安打を放つたびに、スタンドで応援していた蘭君と三島君には喜びがこみ上げた。主将の池田翔君は「あの2人の姿を見て、自分たちはもっとがんばらなければと思えた」という。

 「つないでつないで1点をもぎ取るのがうちの打線。甲子園でも粘り強い打撃をみせて欲しい」と三島君。蘭君は「自慢の打線で勝ち続け、みんなと野球が出来る日を1日でも長くして欲しい」。2人の思いも乗せ、チームは16日の第3試合、東東京代表の二松学舎大付との初戦を迎える。(吉田啓)