九州各地で観測史上最多の大雨 「出口見通せない」状況
九州を中心にした記録的大雨は14日も続いた。気象庁は「経験のないような大雨になっている」として、未明から早朝に長崎県と佐賀県、福岡県に大雨特別警報を発表。大雨の要因となっている前線の停滞は今後1週間程度は続く見込みで、「出口は見通せない」状況だ。
大雨特別警報の対象は午前10時10分時点で、福岡県久留米市、小郡市、朝倉市、大牟田市、大川市、みやま市、大木町、長崎市、長崎県西海市、佐世保市、東彼杵町、川棚町、波佐見町、佐賀市、佐賀県多久市、小城市、鳥栖市、神埼市、吉野ケ里町、武雄市、大町町、江北町、白石町、鹿島市、嬉野市、有田町。
大雨が始まった11日以降、九州の西の東シナ海で雨雲が次々とわき、西日本へ流れ込んでいる。雨のもとになる暖かく湿った空気が停滞する前線に向かって入り続け、前線の活動を活発化させているためだ。この影響で、集中豪雨をもたらす線状降水帯も頻繁に発生している。
14日午前10時までの72時間雨量は、佐賀県嬉野市912・0ミリ▽長崎県雲仙市847・5ミリ▽広島市佐伯区348・5ミリ▽富山県氷見市272・5ミリ▽岐阜県中津川市253・0ミリなど。九州を中心に26地点で観測史上最多を更新した。
14日朝までに、九州南部や紀伊半島でも強い雨が降る地域が出始めた。日本海周辺でも雨雲が形成されてきたため、今後の前線の動きによっては東日本でも災害をもたらすような大雨になる恐れがあるという。
前線は15日夜には一時的に日本の南に南下し、雨が小康状態となる可能性もある。ただ、気象庁の担当者は14日朝、前線は再び北上する見込みだとして「今降っていなくてもこのまま終わるわけではなく、少し弱くなってもまた強くなる可能性がある。出口は見通せず、いましばらくの厳重な警戒を続けてほしい」と呼びかけた。
15日午前6時までの24時間に予想される雨量は多いところで、東海300ミリ▽九州北部・南部、四国、近畿、関東甲信250ミリ▽中国200ミリ▽北陸180ミリ▽東北100ミリ。その後の24時間では、九州北部・南部、近畿100~200ミリ▽四国、東海、関東甲信100~150ミリ▽中国、北陸、東北50~100ミリの見込み。
大雨により各地で河川が増水し、土砂災害の危険度が高まっているため、気象庁は繰り返し早めの避難を呼びかけている。
新型コロナウイルスの新規感染者が急増する中、人が集まる避難所に行くことを躊躇(ちゅうちょ)することも予想される。黒良龍太・予報課長は13日の記者会見で「避難所は自治体が新型コロナ対策をしている」とし、安全な知人宅やホテルなどへの避難の検討も求めた。そして「コロナだからといって避難しないと身の安全を確保できなくなる。避難を優先して頂きたい」と強調した。
総務省消防庁によると、14日午前8時時点で、避難情報のうち最も危険度が高い「緊急安全確保」(警戒レベル5)は福岡、佐賀、長崎、広島の4県の20市町で計58万5421世帯の128万3848人に発令。避難指示(同4)は北陸から九州にかけての22府県151市町村で、計約179万世帯に出されている。(山岸玲)
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