甲子園で減るエース頼み 4投手以上の出場校が半数超

山口裕起
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 投手の障害予防のために設けられた「1週間に500球」の投球数制限。この夏、導入されてから初めての選手権大会を迎えた。代表49校の登録選手や地方大会の戦いぶりをみると、複数の投手をそろえているチームが目立つ。球児の投球過多は長年の課題とされてきたが、「複数投手制」が定着しつつある。

 甲子園大会では、第76回大会(1994年)から、出場するチームの投手の肩、ひじの検査を大会前に実施してきた。第99回大会(2017年)からはチームあたりの受診人数も公表している。

 今大会の受診対象者は174人。学校別では浦和学院埼玉)の7人が最多で、5人が7校、4人が19校で、3人が14校、2人が6校。1人の投手で勝ち上がってきたのは、2校だけだった。

 近年、1人の投手に頼るチームは減った。そのうえで今夏、顕著なのは複数投手の数だ。4投手以上そろえたチームは、前回大会の19年は49代表のうち19校の39%だったが、今夏は27校と55%を占めた。

 11日の1回戦で、横浜(神奈川)に九回2死から逆転サヨナラ負けした広島新庄は、3投手の継投で零封リレー目前まで迫った。宇多村聡監督は「1人の投手では勝ち上がれない。複数の投手を育て、本番でもしっかり投げてくれた」。智弁学園(奈良)も力のある左右の投手をそろえ、3投手の継投で倉敷商(岡山)の追い上げを退けた。

 戦術もあるだろうが、より多くの投手を起用することで、1人の投手の負担を減らす取り組みが進んでいる。加えて、今夏は「投球数制限」も関わってくる。

 今大会から休養日が1日新設されて計3日となり、連戦が解消されるはずだった。しかし、悪天候による順延が続き、休養日は準々決勝翌日の1日だけに。現時点で、一部のチームには2回戦から決勝(27日)までの5試合を7日間で戦う可能性が出てきた。

 8月21日の大会第9日に登場する6校(長崎商―熊本工、専大松戸―明豊、阿南光―沖縄尚学、鹿島学園―盛岡大付大阪桐蔭―東海大菅生、近江―日大東北のそれぞれの勝者)だ。この6校の投手たちは、1週間500球の制限にかかる可能性があり、対応を迫られそうだ。

 今春の選抜大会で左右タイプの違う、京本真、財原光優、太田虎次朗の「3本柱」の活躍で準優勝した明豊もこのゾーンだが、川崎絢平監督に慌てる様子はない。「そのために投手をたくさん入れている。日程をマイナスにとらえず、逆に、継投する時に腹をくくれる」。今大会は1年生右腕の森山塁が加わり、4投手で臨む。(山口裕起)