人口3万弱の町発 英国老舗に勝つ日本製車いすのすごみ

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榊原一生 藤田絢子
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 アスリートは一人では輝けない。競技をするために必要な道具にもこだわり、最高のパフォーマンスを発揮する。そこには「メイド・イン・ジャパン」の支えもある。

 サングラスやゴーグルのブランド「SWANS(スワンズ)」で知られる山本光学(大阪府東大阪市)は、長らくトップアスリートの「目」を守り続けてきた。東京五輪卓球水谷隼に特徴的なサングラスを提供した。球の見づらさを抱える水谷の混合ダブルス金メダル獲得に貢献した。

山本光学「競技用ゴーグル」

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山本光学が開発した競泳の視覚障害クラスで使用されるブラックゴーグル

 スポーツにおいて見やすさを追求する同社が、パラリンピックで力を入れるのは、目の見えない水泳選手向けの「ブラックゴーグル」だ。最も障害の重い全盲クラスだけは、公平性を期すために光を完全に遮断したゴーグル着用が義務。油性ペンなどでゴーグルを黒く塗って出場する選手も少なくなかったが、同社は一般用と同じものを使いたいという選手の要望を受けて開発。2012年に販売を始めた。

 パラだから特別なものをという発想はない。黒以外にも五輪選手が使用するミラータイプのゴーグルも作った。品質や安全性とともにデザイン性も重視。19年には世界パラ水泳連盟の公式サプライヤーとなった。

 水泳大国の豪州や欧州などから注文が入る。それでも販売数は年間100本程度だ。山本直之社長は「現場主義を貫く我々にとって選手と一緒に開発ができる、ということが重要。(五輪に比べて)パラは露出が多くないかもしれないが、開発面では勉強することは多い」と話す。

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インタビューに答える山本光学の山本直之社長

 国内に専用品がなかった視覚障害者で競う「ゴールボール」のアイシェード開発も担う。レンズとフレームを一体化して強度を高め、フレームに厚みを持たせて目や鼻への衝撃を緩和した。日本女子代表は東京大会は他社製品を使用するが、ピンク色を基調としたカラフルなシェードは好評だったという。24年パリ大会では自社のアイシェードで戦ってくれることを待ち望んでいる。(榊原一生)

松永製作所「バスケ用車いす」

 岐阜県養老町に、東京パラリンピックに出場する車いすバスケットボール・英国代表の車いすを手がけるメーカーがある。1974年創業の松永製作所。人口約2万8千人の町に本社を置く企業が、なぜ、強豪チームと組んでいるのか。

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車いすバスケットボール英国代表の車いすを手がけている松永製作所。座面の角度などが調整できる

 「我々も選ばれるとは思って…

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