米大使館員ら、72時間以内に撤収か タリバーン迫る
アフガニスタンで反政府勢力タリバーンが首都カブールに迫っている情勢を受け、米政府は現地の大使館員ら米国人の退避を加速させている。ブリンケン米国務長官は15日、現地の大使館の機能をカブールの国際空港内に移したことを明らかにした。米CNNは、大使館員らの大部分を72時間以内に撤収させる方針だと報じている。
バイデン大統領は14日、現地の米軍部隊を5千人に増やすことを決め、米国人を安全に脱出させることに全力を挙げている。政府は米軍が8月末に撤退した後もカブールに大使館を残すと繰り返し明言していたが、急速な情勢悪化にともない撤収を早めている格好だ。
ブリンケン氏は15日、CNNのインタビューで、現地の米国人を安全に脱出させることが「第一の任務だ。政府を挙げて取り組んでいる」と述べた。現地の米国人に加え、アフガン人の元通訳ら国外退避を望む人について撤収作業を急いでいるという。
「これはサイゴンではない」撤退を正当化
米国では、1975年のベトナム戦争の終結時にサイゴンが陥落し、米大使館の職員らがヘリコプターで逃げるように脱出した光景と重ね合わせる報道も相次いでいる。
ブリンケン氏は「これはサイゴンではない」と発言。「20年前にアフガニスタンに向かい、9・11(米同時多発テロ)の犯人に対抗するのが目的だった。その目的は達成された。さらに5年、10年と駐留を続けることは国益に資することではない」と米軍撤退を正当化した。
政府は現地の米軍部隊を5千人まで増やすが、国防総省は今回の措置は米国人らの脱出を支援するための「一時的で非常に限られた目的のためだ」とし、タリバーンとの本格的な戦闘にあたる意向は示していない。
バイデン氏は14日の声明で「私はこの戦争を5人目に渡すことはしない」として、改めて撤退方針に変わりがないことを強調した。(ワシントン=高野遼)
- 【視点】
米同時多発テロを受け、米国が報復としてアフガニスタン空爆に踏み切ってから20年。CNNなど米メディアによれば、カブール市内の米大使館に掲揚していた星条旗をおろし、大使館員はカブール国際空港へ退去。米大使館からヘリが飛び立つ光景は、まさにベト
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