アフガニスタン、混乱する人々 空港では米軍が威嚇射撃

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バンコク=乗京真知 ワシントン=高野遼、ニューヨーク=藤原学思、ロンドン=金成隆一、ブリュッセル=青田秀樹、モスクワ=喜田尚
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 アフガニスタンの反政府勢力タリバーンが首都カブールを包囲し、同国のガニ大統領が15日、国外に脱出した。タリバーンは大統領府を占拠。ガニ氏は声明で、「刀と銃によってタリバーンは勝利した」と述べた。ガニ政権は崩壊した。今後、タリバーンは自らが主導する国家体制づくりを進める見通しだが、国際社会からは強い懸念の声が出ている。

 地元メディアによると、タリバーン政治部門トップのバラダル幹部は、首都占拠後にビデオ声明を出し、「このような形での勝利は想定外だった」「国の安全と幸福を実現できるか、我々は試されることになる」と語った。

 ガニ氏の行き先は明らかになっていない。地元メディアは、ガニ氏が隣国タジキスタンに渡ったと報じている。ガニ氏は自身のフェイスブックに声明を投稿し、「流血」の惨事を避けるために出国したと説明。「タリバーンは国民の名誉や財産を守る責任がある」と述べた。

 アフガニスタンでは駐留米軍が8月末を期限に撤退を進めるなか、支配地域を広げた反政府勢力タリバーンが15日朝までに首都を包囲。首都を舞台にタリバーンと政府軍の交戦が始まる懸念が高まっていた。

 現地の朝日新聞助手によると、カブール市内ではほとんどの店が閉まる一方、「タリバーンとの銃撃戦が始まった」とのうわさが飛び交い、逃げ出そうとする人々の車で大渋滞が発生した。米軍が展開するカブールの国際空港では、国外脱出を求める人々が飛行機の周りを取り囲み、米軍が威嚇発砲する騒ぎもあった。

 同国では米同時多発テロが起きた2001年、テロ首謀者をかくまっているとして米軍などがタリバーン政権(当時)を空爆し、政権を崩壊させた。その後、タリバーンは隣国に逃れるなどして力を蓄え、武装勢力として駐留米軍やアフガン政府軍と約20年間戦ってきた。

 泥沼の戦いが続くなか、米兵の犠牲や巨額の駐留費を「無駄」と考えた米国のトランプ前大統領が18年7月、タリバーンとの直接協議を開始。タリバーンによる自爆テロが続いて協議が頓挫しかけた時期もあったが、米国が囚人釈放などで懐柔し、20年2月に米軍の段階的撤退を進めることで双方が合意した。

 この合意の枠組みを引き継いだバイデン大統領は今年4月、米同時多発テロから今年9月11日で20年になるのに合わせ、それまでに駐留米軍を完全撤退させると表明。5月から撤収作業を本格化させた。米軍の撤退が進むにつれ、米軍を後ろ盾にしてきた政府軍の統率は一気に崩れた。(バンコク=乗京真知

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