返礼品バブル崩壊の町 米国で振り返る「中央と地方」

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ワシントン=青山直篤
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経世彩民 青山直篤の目

 遠いワシントンで記事を読みながら、日本の小さな海辺の町の情景がよみがえった。やるせない思いとともに。朝日新聞デジタルで、高知総局の羽賀和紀記者(44)が書いたルポ「返礼品バブルの崩壊した町の今 『何も残らなかった』」を読んだ時のことだ。

 高知県奈半利町のふるさと納税の返礼品を巡り、元町職員らが業者から1億円近くの賄賂を受け取ったとされる贈収賄事件。元町職員らの公判開始にあわせ、羽賀記者が丹念に現場を歩き、町を包む虚脱感を伝えていた。

 事件で受託収賄などの罪に問われた元課長補佐、柏木雄太被告(42)に私は取材したことがあった。2016年3月24日のことだ。

 税制や社会保障を扱う「にっぽんの負担」という企画で、ふるさと納税の問題点を掘り下げる取材を進めていた。その一環で、高い返礼率で人気だった奈半利町を訪ねたのだ。

 柏木被告は当時、返礼品の調達に奔走し、巨額の寄付を集める「町役場の星」ともいえる存在だった。まる半日かけて取材に応じ、養鶏農家などへ案内してくれた。情熱を込めて町の活性化を語る姿が印象に残っていた。

 当時、私が高知への出張からの帰途、上司のデスクに送った報告のメールを読み返した。柏木被告について「情熱にあふれた有能な若手職員」「取り組み自体は頭が下がる」とある。一方で「ただ、中央と地方の『分断』を本質的に変えるものではないどころか、むしろ悪化させるのではないかという印象は変わりませんでした」とも記していた。

 このメールで、「分断」を生…

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