「無責任に撤退した」 米国の大きな挫折と注目する中国

アフガニスタン情勢

北京=林望
[PR]

 アフガニスタンの反政府勢力タリバーンが首都カブールを制圧し、ガニ政権が崩壊したことについて、中国では、20年に及ぶ米国の戦略の大きな挫折と捉え、その威信を大きく傷つける事態との見方が強まっている。米国のプレゼンス低下は両大国の対立の行方にも大きく影響するだけに、専門家らは事態の進展に強い関心を寄せている。

 現地に記者を置く中国国営メディアは、15日夜からアフガニスタンの情勢を詳報。戦闘が避けられたカブール市内は比較的落ち着いていると伝える一方、隣国のパキスタンウズベキスタンの国境には国外脱出を目指す人が集まっているなどと伝えた。

 中国の専門家やメディアは、ガニ政権の崩壊が米国の国際的な地位や地域での影響力の転機になる可能性があるとみて注視している。複数の中国メディアは、米軍のヘリがカブールに残る米大使館員らの救出に当たる映像を、1975年のサイゴン陥落当時の写真と並べて報道。今回の事態を、ベトナム戦争での敗北と並ぶ米国の歴史的な挫折として伝えている。

 中国国際問題研究院の李青燕副研究員は中国メディアに「米軍が無責任にも荷物を投げ出すように撤退したことがアフガン政府の崩壊を招いた。同盟国を含む国際社会の厳しい批判を受けるだろう」と指摘。人民日報系の国際情報紙、環球時報も社説で「今回の撤退計画は、同盟国にとっても米国の約束がいかにあてにならないかを示すものだ」などとした。

 一方、米国の後ろ盾を得ていたアフガン政府がこれほどもろく崩壊したことには、中国側にも驚きが広がっている。同研究院の蘇暁暉副研究員は中国メディアに「バイデン政権が撤退を加速させたことがアフガン政府の自信を失わせ、これほどの急展開を生んだ」と指摘。米軍の撤退で「安全保障上の大きな穴が生じている」として、過激派勢力の台頭など今後のアフガン情勢は楽観を許さないとの警戒感を示した。(北京=林望)