「文藝」躍進、実売部数は3倍 編集長「ぜんぶ変える」

有料会員記事

山崎聡
[PR]

 純文学のイメージを変える大幅なリニューアルで、河出書房新社の季刊文芸誌「文藝」が成功している。増刷に次ぐ増刷や芥川賞作家の輩出が話題になり、定期購読者数が10倍、実売部数は3倍に。快進撃の立役者は、2019年1月から編集長を務める坂上陽子さんだ。

 さかのうえ・ようこ 1978年、兵庫県西宮市生まれ。2003年、河出書房新社に入社。営業部を経て、04年から「文藝」編集部。07年に単行本編集部へ移り、13年から「池澤夏樹=個人編集 日本文学全集」に参加。19年1月から「文藝」編集長。担当書籍に、いとうせいこう『想像ラジオ』、高橋源一郎×SEALDs『民主主義ってなんだ?』など。

 ――編集長としての2年半をどう振り返りますか。

 編集長になった頃は崖っぷちでした。編集部の人数が3人に減り、小説は雑誌も書籍もなかなか売れない。この時代に純文学は厳しい、という空気はうちの会社にかぎったことではありませんが。また、3人は私も含めて文芸誌の経験がほとんどなくて、他誌に比べて圧倒的に経験値が低かったんです。何もかも足りない本当にぎりぎりの状況でスタートしたから、いま話題になって部数も伸びて、というこんな未来は想像もしていませんでした。うれしいけれど、まだやりたいことの半分もできていないなと思いますね。

 ――表紙のデザインやレイアウトが大きく変わり、フェミニズムなど社会と切り結ぶ特集テーマが目を引きます。リニューアルで変えたかったことは。

 合言葉は「ぜんぶ変える」でした。いまこの時代に文芸誌をゼロから立ち上げるとしたらどうなる?と考えて。デザインを一新して、とにかく目立つ。文学村は過疎の村だと思っていて、そこで何かやるには祭りを起こして外の人に気づいてもらわなくては、みたいなイメージがありました。届くべき読者にまだまだ届いていない感触があったからです。小説以外に興味を持つ人を呼び寄せるような何かアクチュアルなことを特集でやって、それで新しい作家の、取れたてほやほやの作品に気づいてくれたらいいなというのが最初のコンセプトでした。

 ――特集のテーマはどうやって決めていますか。

 完全にノリだけでやってます…

この記事は有料会員記事です。残り2009文字有料会員になると続きをお読みいただけます。