日本経済、揺らぐ「年内回復」 感染拡大で続く消費低迷

有料会員記事新型コロナウイルス

田幸香純、古賀大己 榊原謙
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 16日に発表された4~6月期の国内総生産(GDP)は小幅な回復にとどまった。新型コロナウイルスの感染拡大を受け、政府はこの日、いまの緊急事態宣言を拡大・延長する方針も事実上、決定。ワクチン接種を急いで年内にコロナ前の経済規模を取り戻すという政府の見通しは狂い始めた。本格回復が遠のく日本経済の現状と先行きを2回にわたって点検する。初回はGDPの半分以上を占める個人消費の行方を探る。

 東京五輪が開かれていた8月上旬。昨年開業したばかりの都心のホテルに、宿泊客の姿はまばらだった。本来は夏休みの繁忙期のはずが、1泊数千円でも予約が埋まらない。4度目の緊急事態宣言が続き、男性支配人は「客足はさらに遠のいた」と嘆く。

 もともと東京五輪で訪れる外国人観光客を当てにして開業した。各部屋は現代的な「和」の雰囲気を演出するなど、外国人を意識してつくり込み、宿泊単価は1泊数万円の想定だった。

 だが、その五輪は開催が1年延びたうえ、ほぼ無観客での開催。正式に無観客での開催が決まると、国内宿泊客のキャンセルも相次いだ。やむなく宿泊料を引き下げたが、期待したほどの集客はなかった。「外国人客の受け入れ再開はデルタ株の流行で、さらに遠のく。年内はあきらめた」

 かき入れ時のゴールデンウィークも東京などで3度目の宣言が重なり、4~6月期の全国の宿泊者数はコロナ前の2019年同期の半分にも満たなかった。4~6月期の個人消費は前期比0・8%増だったが、年換算の実額は約288兆円で、コロナ前の19年10~12月期の約296兆円は遠い。

 ワクチン接種が進み、夏休みや東京五輪もある7~9月期には、ある程度消費が持ち直すとの見方も、感染力が強いデルタ株による感染拡大で吹き飛びそうだ。2、3カ月先の街角の景況感を示す7月の指数は前月より4・0ポイント低下の48・4に悪化した。第一生命経済研究所の新家義貴氏は「宣言が延長されれば、個人消費が回復する時期はさらに遅れるだろう」と予想する。

 野村総合研究所の試算によると、ほぼ無観客で開催された東京五輪の経済効果は約1兆6771億円で、8月末までの4度目の宣言の経済的損失2兆1900億円の方が大きいという。

リベンジ消費も動き鈍く

 そうした中で、政府が期待を…

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