米国の最新兵器が流出 タリバンの再興が意味すること

有料会員記事アフガニスタン情勢

聞き手・小早川遥平
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 アフガニスタンの反政府勢力タリバーンが15日、首都のカブールを掌握し、アフガン政権は崩壊しました。米軍が撤退を終える前の急転直下の展開は、世界を驚かせました。なぜタリバーンは、ここまで早く首都を陥落させられたのか。アフガニスタンは米同時多発テロ以前の姿に戻ってしまうのか。アフガン情勢に詳しい中東調査会の青木健太研究員に聞きました。

 ――ガニ大統領率いるアフガン政権が崩壊しました。

 昨年2月に米軍の段階的撤退に合意した際、トランプ政権は譲歩をしすぎました。合意はタリバーンにとっては「占領者の放逐」を意味しますが、アフガンの停戦や和平合意については条件に含んでおらず、米国が得るものは少なかったといえます。

 その時点でタリバーンが取り得るシナリオは、アフガン諸勢力を取り込んだ形での政府の樹立と、武力を用いた政権奪取、この二つに絞られていました。そこに、バイデン政権が今年4月に部隊を残さない形での完全撤退を発表してしまったことで、タリバーンは後者に動きました。発表の翌月の5月ごろから農村部でタリバーンが武力攻勢を激化させたことからも、因果関係は明らかです。

 ――トランプ氏バイデン氏のどちらの責任でしょうか。

 今回、国際的にはバイデン氏の失敗という論調が強いですが、和平合意がない中での撤退はトランプ氏が敷いた路線なので、責任の一端はあるでしょう。ただ、バイデン氏トランプ氏に責任を押しつけることはできません。4月にイスタンブールで和平協議が予定されていたのに、その前に無条件の撤退を一方的に表明し、タリバーンがすべきことを伝える機会を逃しました。政権側に装備と兵備を与えたのだから大丈夫だろうという見込み違いがあったのでしょう。

 ――タリバーン政治部門トップのバラダル幹部も「このような形での勝利は想定外だった」と言っています。

 米国は最新鋭の兵器や資金力で、国軍や警察を増強してきましたが、中身に問題を抱えていました。アフガンは識字率が低いこともあり、軍の訓練度が低く、また多民族国家で、兵士の忠誠心が低く士気も高くありません。タリバーンが攻めてきたときに自分の命に代えてでも国を守る、という人は少なく、タリバーンが首都に向かって各州を制圧していく過程でも、後半になるほど無血開城が相次ぎました。タリバーン側も部族の長老や政府内部のシンパを通じ、州知事や治安機関の長と水面下の取引を交わしていたとみられます。

【動画】カブールの国際空港には国外脱出を望む群衆数千人が押し寄せた。米軍の特別機が運航を休止するなど混乱に拍車がかかっている

 ――今後はどういう動きが想定されますか。

 タリバーンがカルザイ元大統…

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