孤立より承認求めるタリバン 中国やロシアはなぜ支援

アフガニスタン情勢

聞き手・小野甲太郎
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 アフガニスタンの政権崩壊は世界に大きな衝撃を与えた。20年にわたる努力が水泡に帰した米国の外交政策にどのような影響があるのか。国際社会はどう対応していくのか。専門家に聞いた。

東京大・鈴木一人教授(国際政治経済学)

 タリバンは「大人」になったかのように振る舞っている。戦闘員に暴力や略奪を禁じて市民や国際社会の反発を招かないようにするなど、国内外から承認を得ようとしている。外交や政治的交渉を通じて現実と折り合いをつけつつ、イスラム主義国家を作ろうという意思が強くうかがわれる。

 国内に拮抗(きっこう)する力を持つ抵抗勢力はないが、多様な民族がいる各地を支配する指導者がいる。タリバンは単独で国を統治するのではなく、各地の勢力を束ねた統一政府を実効支配する形を目指すだろう。アフガニスタンを空白地としないためにも国際社会はこうした政府の存在を認めざるを得ないが、積極的に手を差しのべる西側諸国はないだろう。

ユーラシア全体のバランスが変わる

 中国にとっては経済圏構想「一帯一路」の要衝で重要な地域だ。7月末にタリバンの代表団が王毅(ワンイー)国務委員兼外相と会談するなど対話を進めている。国境を接する新疆ウイグル自治区のイスラム教徒への影響力を及ぼさないように懐柔したいとの意図もみえる。中央アジアへのイスラム過激派の拡散を防ぎたいロシアも、ガスや石油をはじめとした経済的恩恵を与えていくだろう。

 国際社会から孤立するタリバンにとって、中国とロシアは経済支援と国際承認を与えてくれるありがたい存在。米国がいなくなり中ロが地域で存在感を増すということはオセロゲームで角のマスがひっくり返ったようなものだ。ユーラシア大陸全体のバランスが変わるだろう。イランやパキスタンタリバンがどのような関係を築くのかにも注目だ。西側諸国にすればインドの存在感が大きくなる。

 タリバンには、かつてとは違う統治への強い意思がある。本質は変わっておらず楽観はできないが、再びテロリストの温床になる道を選ぶとも考えにくい。極端なイスラム主義に軸足を置きつつ、現実的な戦略を身につけた彼らは、国際社会からの孤立より承認を求めている。(聞き手・小野甲太郎)