第1回「自然栽培」、農薬の代わりは毎日の観察 JAも協力 

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小川智
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自然栽培の行方①(全4回)

 農薬や肥料を使わず、土の中の微生物や作物の周りの草や虫などの力を生かして米や野菜、果物を育てる「自然栽培」。この方法で農業を生態系から捉え直す自然栽培に取り組む農協(JA)がある。コロナ禍によって家庭で食事をする機会が増え、作物の育て方への関心も高まっているようだ。それぞれの取り組みから今後の農業の可能性を探った。

 6月20日、岡山県倉敷市。JA晴れの国岡山組合員、米田隆昌さん(48)の田んぼでは、生産者や関係者の家族らが集まり、毎年恒例の苗を手植えする「お田植え祭」が開かれた。

 ここでは自然栽培で米を育てている。自然栽培とは、化学肥料を使用しないほか、有機栽培と違って家畜のふんなど動植物由来の堆肥(たいひ)もできるだけ使わない。代わりに養分の窒素を土の中に取り込みやすいマメ科の作物を野菜の苗の間に植えたり、果樹の葉に食酢を薄めて散布して虫を防いだりする。また、畑の畝(うね)を高くし、溝や穴を掘って水はけを良くする。粗く耕して土壌の生態系を残しながら空気を含ませ、土の中の菌を活性化させる「乾土効果」につなげる。耕さない「自然農」や「自然農法」とは異なる。農業機械などの使用も妨げない。

写真・図版
コンバインで刈られる自然栽培米。自然栽培は市場のニーズに合わせて大規模に効率よく生産できるよう、農業機械が使われる=2020年11月4日、岡山県倉敷市、小川智撮影

 米田さんの田んぼは、12年前から肥料と農薬を使っていないという。昨夏、岡山県内では害虫のトビイロウンカの被害が発生した。米の作況指数は95と例年に比べて悪化したが、7・5ヘクタールある米田さんの田んぼは、ほぼ被害がなかった。県内にいるほかの約100人の自然栽培米の生産者からの聞き取りでも同様だった。肥料を使わないため、その分、稲の苗がしっかり土中に根を張る。茎も太く堅く成長し、被害が抑えられた。化学農薬を使う栽培に比べ、田植えの時期が遅いのも被害を防ぐ要因になったという。

全国にあるJA、取り組みはほんの一部

 米田さんは「除草剤を使わず…

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