第3回本当に持続可能なのか 「自然栽培」分かれる評価

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小川智
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自然栽培の行方③(全4回)

 必要な養分は肥料でまかない、害虫は農薬で防いできた「近代農業」。それに対して肥料を使わずに微生物などを生かして持続可能な農業をめざすのが「自然栽培」だ。だが、肥料や土壌をめぐる考え方は様々で、研究者間でも評価が分かれている。

 自然栽培の第一人者、木村秋則さん(71)=青森県弘前市=は、山に自生する木や草が肥料がなくても育っていることに気づき、農薬や肥料を使わないリンゴ栽培に初めて成功した。早く大きく育てるため、リンゴの木に与えていた窒素などの肥料分が、虫を寄せつける原因だと考えた。余分な窒素がなくなれば虫が寄ってこなくなり、農薬も不要になるだろうと想定した。

写真・図版
無農薬りんごの栽培を7年越しで成功させた木村秋則さん=2005年8月、青森県

 生産者は、作物中に窒素分が多いと虫を寄せつけやすいことを経験的に知っているという。秋田県農業試験場などに所属した研究者の小山重郎さん(87)は、稲に窒素を多く与えると、害虫のアワヨトウの幼虫の発育がよくなるといった実証研究をした。「害虫とは自然に発生するのではなく、作物の栽培条件を通じて人間がつくり出してきたもの。農薬を減らすには、虫を寄せつける窒素成分を減らし、肥料を与えないという木村さんの自然栽培の考え方に合う」と話す。

 しかし、山に自生する野生品種や養分をあまり必要としない在来品種と、現在の農業で主に育てられる品種は違う。食品安全に詳しい科学ジャーナリストの松永和紀さん(57)は「現在の一般的な品種はおいしさや収量の高さを特徴にして、肥料を与えることを前提に品種改良されている。広い面積で栽培することを前提にしており、病害虫に襲われると一気に被害が広がるため、防除には化学合成農薬が効果的。日本には様々な品種があり、養分をたくさん必要としない在来品種などは自然栽培で育てられる場合もあるし、必要に応じて化学合成農薬や化学肥料を用いる農業も、食料の安定供給に重要な役割を果たしている」と話す。

外部からの土壌の養分はいる?いらない?

 一方、肥料の必要性と自然栽…

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