声援でなく拍手で 静岡、全国唯一のパラ公道聖火リレー

和田翔太、須田世紀、山崎琢也
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 静岡県内で17日、東京パラリンピック聖火リレーが行われた。静岡市内でリレーが取りやめになるなど規模を縮小しての開催となったが、御前崎市から菊川市では全国で唯一、公道での聖火リレーが実施され、100人以上の走者が聖火をつないだ。

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 リレーに先立ち、静岡市清水区日本平夢テラスでは、同日午前、県内35市町で採火した炎を集めて一つにする「集火式」があった。各市町の代表者が、地元で採火した火を持ち寄り、集火台にともした。

 冒頭、熱海市で7月に発生した土石流で犠牲になった人たちに黙禱(もくとう)が捧げられた。式では、特色を生かした採火方法について首長が紹介。地元を走るSLから採火した島田市の事例などが示された。

 その後、それぞれの代表者が庭園の周りに整列し、ランタンを掲げて聖火皿へと点火。川勝平太知事からゲストとして登場した落語家で同市出身の春風亭昇太さんに聖火が託された。

 川勝知事は、「静岡県がホスト県として日本の一翼を担うのは誠に光栄。希望の火は静岡の灯として世界中の人々の希望の灯につながるように祈念する」と語った。

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 浜松市の四ツ池公園陸上競技場では、土石流が発生した熱海市、まん延防止等重点措置が適用されている静岡市を走る予定だった計50人が聖火を運んだ。

 100メートルほどの区間をゆっくりと走りながら、次の走者に「トーチキス」。一般の観覧者は入れず、家族のみの応援だったが、高齢者や、車いすのランナーもみんな笑顔で走った。

 テニスで五輪出場をめざしていた函南町の女性会社員は、聖火リレーを走る義母にかなわなかった思いを託した。浜松市を走ることが分かったのは3日前。「遠いな、と思ったけど走ることができてよかった。トーチを手に笑顔の義母を見たら感動しました」と話した。

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 御前崎市菊川市では全国で唯一、公道での聖火リレーがあった。68人が4・1キロをつないだ。

 沿道にはマスク着用や、間隔を開けるよう促すプラカードを持ったスタッフが立ち、集まった観覧者に声を出さず拍手で応援するよう呼びかけていた。スタート地点の浜岡福祉会館前には数十人が集まっていたが、その他の場所では沿道の人出はまばらだった。

 走者を務めたリオ五輪銀メダリストで、東京五輪にも出場した飯塚翔太さん(30)は同会館から浜岡球場までの約200メートルを走った。「競技でも走る距離だが、いままでで一番長い200メートルだった。生まれ育った地元で聖火をつなげ、宝物のような時間だった」と語った。

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 午後7時半から浜松市の四ツ池公園陸上競技場で出立式があり、聖火皿に火がともった。

 川根本町からはお茶の火入れの火、富士宮市からは富士山御神火まつりの火、牧之原市からは相良油田の里で採取した原油を使った火。県内35市町が工夫を凝らした火が集められ、100人超の走者が運んだ。

 出野勉副知事は「共生社会の実現に向けて未来の希望の聖火になるといい」とあいさつ。聖火は24日の開幕に向け、千葉県埼玉県を経て東京へ向かう。(和田翔太、須田世紀、山崎琢也)