EU「タリバンと協議必要」 カナダは「承認予定なし」

ブリュッセル=青田秀樹 ニューヨーク=藤原学思
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 欧州連合(EU)の外相にあたるボレル外交安全保障上級代表は17日、アフガニスタンで権力を掌握したイスラム主義勢力タリバンについて、「タリバンは戦争に勝った。彼らと協議する必要がある」と語った。タリバンを政権として認めるかどうかは別問題だとしつつも、現地の治安や人権問題などを協議する相手だと認めた形だ。

 EU27カ国によるオンライン方式での緊急外相会議後、記者会見で述べた。EU市民のほか、EUに協力してきたアフガン市民や関係者ら約400人の国外退避を急いでいるといい、その安全確保のためにも、退避だけでなく逆にスタッフを送り込み、タリバン側と交渉させると説明した。「女性や子どもを守るためでもある。経済的にも政治的にも、あらゆる手段を使う」とも語った。

 外相会議では、今後のアフガニスタンへの支援について、紛争の平和的な解決や女性をはじめとする人権の尊重などが条件になると確認。すでに資金拠出などは凍結したという。ただ、医療や食料などの人道援助は「政治状況を問わずに続ける。むしろ増額が必要になるかもしれない」(ボレル氏)との立場だ。また、難民・移民が大量にEUに流入する事態を避けるためにも、アフガニスタンの近隣国を支える方針も表明した。

 ボレル氏は、タリバンが権力を掌握した事態について、ロシアによるクリミア半島の一方的な併合以来の地政学的なインパクトがあると指摘。学ぶべき教訓のひとつとして、タリバンの攻勢に対するアフガニスタン軍の能力を過大評価したことを挙げ、「過ちだった」と認めた。(ブリュッセル=青田秀樹)

カナダ首相批判「武力で乗っ取った」

 カナダのトルドー首相は17日、「カナダは(イスラム主義勢力)タリバンアフガニスタン政府として承認する予定はない」と語った。主要国のトップが、タリバン政権の承認について明言するのは初めてとみられる。

 選挙戦で訪れていたオンタリオ州マーカムで、報道陣の質問に答えた。カナダは、タリバンが前回政権を握っていた1996~2001年も承認しておらず、法律でもタリバンは「テロリスト組織」と認定されている。トルドー氏は「タリバンは正当に選ばれた民主的な政府を、武力で乗っ取った」と非難した。

 カナダのガルノー外相は16日、米CBCのインタビューでタリバン政権の承認について問われ、「何が起きるか、注視しなければならない。答えるには早すぎる」と語っていた。

 だが、トルドー氏は外相発言から1日も経たないまま、承認を否定した。カナダは9月20日の総選挙を控え、野党・保守党が今月、「タリバン政権は承認しない」と声明を出したことから、トルドー氏も立場を明確にせざるをえなかったとみられる。(ニューヨーク=藤原学思