第1回アフガン見捨てた米国に募る「不信」 対中戦略に暗い影

有料会員記事アフガニスタン情勢

ワシントン=園田耕司
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揺らぐ世界秩序 アフガン政権崩壊(1)

 アフガニスタンの政権崩壊とイスラム主義勢力タリバンの台頭は、今後の世界のあり方をどう変えていくのか。米国、中国、ロシア、中東、欧州、アジア。それぞれの地域の特派員が読み解く。

 バイデン政権がアフガニスタンからの米軍撤退を推し進めたのは、2001年の米同時多発テロをきっかけに始まり、泥沼化した一連の対テロ戦争に終止符を打ち、米国の軍事力を対中国へとシフトさせるためだ。今回のアフガニスタン陥落は、同盟国との協力を軸にする米国の対中戦略に暗い影を落とすものとなった。

 バイデン大統領はアフガン政権崩壊直後の16日の演説で、「我々の本当の戦略的競争国である中国とロシアは、米国がアフガンの安定のために数十億ドルを注ぎ込み続けることを最も好むだろう」と強調した。バイデン政権の対中戦略の核心は、同盟国・友好国との強固な連携にある。政権発足から7カ月、バイデン政権はG7などの国際会議の場を利用し、順調に「中国包囲網」の形成に成功しつつあるように見えた。

傷ついた米国の「威信」

 しかし、今回のアフガニスタン陥落で米国の威信は大きく傷ついた。同盟国・友好国からは「カブール空港の絶望的な光景は、西側にとって不名誉なこと」(ドイツのシュタインマイヤー大統領)との声も出た。米国内からも「米国がアフガニスタンを見捨てたように見え、(同盟国・友好国から)『間違った対応だ』と言われるだろう」(新アメリカ安全保障センターのリチャード・フォンテーヌ最高経営責任者)と同盟国・友好国の不信を懸念する声が出ている。

 アフガニスタンからの米軍撤退に力を入れたトランプ前大統領は、米国民の利益を最優先する外交政策「アメリカ・ファースト」を掲げた。バイデン氏は「中間層のための外交」という呼称を使っているが、米軍撤退理由について「(アフガン駐留は)米国の国益にならない」と明言している。透けて見えるのは、冷徹な計算だ。

 アフガン市民が人権軽視のタリバン政権のもとで苦しむことになったとしても、米国の判断の根底は自国の国益にかなうか、かなわないか。政権が交代しても「アメリカ・ファースト」に変わりはない。

 同盟国・友好国の間に芽生えつつある米国への不信をテコに、中国は早速揺さぶりをかけ始めている。中国共産党機関紙・人民日報系の環球時報は17日付の社説で、米国が熱心に支援している台湾とアフガン政権の崩壊を結びつけ、「台湾の将来の運命の前兆を示しているのではないか」とあからさまな表現で台湾に警告した。

 記事後半では、対中包囲網への影響や、そもそもなぜバイデン政権が撤退を急いだのか、その理由についても考えます。

 「民主主義国家対専制主義国…

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