ダルや涌井以来の1日3完封 コロナ影響で投手有利に?

山口史朗
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 第103回全国高校野球選手権大会はここまで1回戦の16試合を終え、4人の投手が完封した。16日は4試合のうち、3試合が完封。コロナ禍で対外試合が制限されたことによる実戦不足は、投手よりも打者に影響したという声が春先から聞こえた。「打高投低」の傾向が長く続いた夏の甲子園だが、今大会は投手有利で進むのだろうか。

 開幕日の10日に日本航空(山梨)の左腕ヴァデルナ・フェルガスが完封一番乗り。それぞれの投手が持ち味を発揮し、「完封デー」となったのは16日だ。

 第2試合では専大松戸(千葉)の深沢鳳介が選抜準優勝の明豊(大分)を6安打完封。右やや横手から140キロ前後の直球で内外角を厳しく攻めたかと思えば、緩いカーブでタイミングを外した。明豊の川崎絢平監督を「大人の投球をされた」と脱帽させた。

 第3試合では沖縄尚学の左腕當山渚が被安打2、四死球0、12奪三振で阿南光(徳島)を抑え込み、続く試合では盛岡大付の右腕渡辺翔真が4奪三振ながら丁寧に低めをついて鹿島学園(茨城)に決定打を許さなかった。

 1日で完封試合が三つあったのは、2004年8月14日、第86回大会第8日以来のことだ。いずれも2回戦で東海大翔洋(静岡)の川口真が岡山理大付を、横浜の涌井秀章が延長11回を投げて京都外大西を、東北(宮城)のダルビッシュ有遊学館(石川)をそれぞれ封じた。

 快投が続く理由として考えられるのは、第一に好投手が多いこと。さらにコロナ禍で活動が制約されたことにより、打者の実戦経験不足を不安視する指導者は今春の選抜から多かった。県外の強豪校と対戦する機会が限られ、全国レベルを体感する機会がどのチームも少なかった。

 選抜で本塁打が飛び出したのは開幕から13試合目で、金属製バット導入後、最も遅かった。31試合の総得点も金属製導入後で2番目に少ない242だった。

 東京五輪があった今夏は全国選手権の開幕が例年より遅かった上、雨天順延が相次いでおり、地方大会から間隔があいた影響もありそうだ。16日はすでに4日、順延していた。打者は実戦から遠ざかる一方、投手は地方大会の疲れが取れてくる。

 18日、初戦を翌日に控える西日本短大付(福岡)のエース大嶋柊は、「投げていない分、肩も非常に動きがいい」と話した。

 二松学舎大付(東東京)の市原勝人監督は指摘する。「投手は1人で自分の練習がしやすいけど、野手はなかなか1人では練習ができない。投手有利の感じはします」。選手たちには「前提としてそんなに打てない、おまけで打てるぐらいでいい。それぐらいの気持ちでいこう」と声をかけているという。

 ただ、順延ですでに休養日が2日なくなり、大会終盤は日程が詰まる。戦いを重ねるにつれ、打者の感覚も徐々に研ぎ澄まされていくだろう。1週間で500球の球数制限もあり、投手起用にも工夫が求められる。

 4投手を起用して京都大会を勝ち上がった京都国際の小牧憲継監督は「そのとき状態のいい投手を使っていこうと思う」と、1人には頼らない起用法を示唆した。山口史朗

過去5大会の完封試合

回戦 名前 スコアと対戦相手

【101回】

1回戦 奥川恭伸(星稜) 1―0旭川大

1回戦 高木要(立命館宇治) 1―0秋田中央

【100回】

1回戦  恩田慧吾(前橋育英)   2―0近大付

1回戦  辰己凌晟(日南学園)   2―0丸亀城西

1回戦  西純矢(創志学園)    7―0創成館

2回戦  漢人友也(常葉大菊川)  3―0日南学園

3回戦  渡辺勇太朗(浦和学院)  6―0二松学舎大付

【99回】

1回戦  斎藤郁也(聖光学院)   6―0おかやま山陽

2回戦  坂根佑真(天理)     6―0大垣日大 

2回戦  長谷川拓帆(仙台育英)  1―0日本文理

【98回】

2回戦  今井達也(作新学院)   3―0尽誠学園

2回戦  早川隆久(木更津総合)  2―0唐津商

3回戦  早川隆久(木更津総合)  2―0広島新庄

準々決勝 中野恭聖(明徳義塾)   3―0鳴門

【97回】

1回戦  草海光貴(上田西)    3―0宮崎日大

3回戦  富山凌雅(九州国際大付) 2―0作新学院

準決勝  佐藤世那(仙台育英)   7―0早稲田実

今大会の完封試合

 名前       スコアと対戦相手 被安打 奪三振 与四死球

ヴァデルナ(日本航空) 4―0東明館   5  5   3

深沢(専大松戸)    6―0明豊    6  11   1

當山(沖縄尚学)    8―0阿南光   2  12   0

渡辺(盛岡大付)    7―0鹿島学園  5  4   3