行基ゆかりの寺に「試みの大仏殿」 いろは写経で復興

久保智祥
[PR]

お参りノート

喜光寺(奈良県

 東大寺の大仏建立に尽力した名僧、行基(668~749)。喜光寺(きこうじ)は、その行基が721年に開き、生涯を終えたゆかりの寺だ。もとは「菅原寺」と呼ばれたが、聖武天皇より寺号を賜ったという。「平城京のほぼ中心地で、50代以降の行基さんの活動拠点だったと思われます」と山田法胤(ほういん)住職(80)。

 境内にたつ立派な本堂(国重要文化財)は室町時代の再建だが、東大寺大仏殿の試作との伝承から「試みの大仏殿」と呼ばれる。

 創建以来の浮沈のなかで、明治の神仏分離と廃仏毀釈(きしゃく)を受け、寺は荒廃。一時は無住化するなど昭和まで厳しい時代が続いた。

 そんななかで、1990年に住職に就いたのが後に薬師寺管主も務めた山田さんだ。四十八文字のいろは歌を写す「いろは写経」による勧進を続け、焼失していた南大門再建や行基菩薩(ぼさつ)像をまつる行基堂を建立。創建1300年の今年は仏舎利殿を建てた。「多くの方のお力でここまで復興できた。これも周りの人々をもり立てる行基さんのご遺徳だと感じます」(久保智祥)

 《メモ》 奈良市菅原町、電話0742・45・4630。近鉄尼ケ辻駅下車徒歩10分。拝観料500円。