生放送の字幕遅れ解決した「逆転の発想」パラ番組で導入

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野城千穂
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 障害の有無や年齢にかかわらず、誰もが分かりやすい「ユニバーサル放送」の一環として、NHKは24日開幕の東京パラリンピックの期間中、関連番組で「ぴったり字幕」と名付けた字幕表示を導入する。生放送では音声より遅れてしまう字幕表示を、逆転の発想で解決しようという試みだ。

字幕放送

対応する番組では、リモコンの字幕ボタンで字幕表示ができる。総務省の調査によると、2019年度の総放送時間のうち、字幕放送時間の割合は、NHK総合(東京圏)で86・5%、Eテレで79・4%、民放の在京キー局5局で65・3%。生まれつきの聴覚障害者だけでなく、加齢などによる難聴者にとっても重要で、字幕放送の割合は増加傾向にある。

 「字幕を見て内容が理解できた時には、もう画面が変わってしまっている」「しゃべる人の表情など、リアクションの意味がつかみにくい」。これらは2011年、聴覚障害者にテレビの利用状況を尋ねた総務省のアンケートへの回答だ。

 「生放送で音声とぴったり合った字幕を出すのは大きな課題だった」。今回のパラ大会中、競技の見どころなどを朝に紹介する「あさナビ」(総合)の責任者の湯沢克彦さん(NHKエデュケーショナル)は言う。

 字幕は人の手で入力しているため、実際の音声と映像より15秒程度遅れてしまうという。人工知能(AI)による自動作成の技術も研究中だが、複数人の会話では字幕の精度が落ちてしまう問題がある。

写真・図版
従来の生放送の字幕と「ぴったり字幕」のイメージ

なぜ今までなかった?

 そこで考え出された解決策が、字幕の表示を早めるのではなく、逆に映像を30秒遅らせる方法だ。「ぴったり字幕」と名付けられ、19年のパラ陸上世界選手権の関連番組で試行。技術的な問題は特に無かったという。パラリンピックでは今大会初めて「あさナビ」に取り入れる。

 なぜ今までは映像を遅らせる…

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