夏の風物詩、ちょうちん 「自動谷折り機」への挑戦
松田史朗
独自開発した「ちょうちん全自動谷折り機」=バロ電機工業提供
夏の風物詩の一つ、「ちょうちん」。コロナ禍による祭りの中止や飲食店の休業で、目にする機会は減っているが、やわらかな明かりが親しまれている。そのちょうちんをつくる際、折り目をつける作業を人の手でなく機械化できないか。広島市のあるメーカーが、試行錯誤を繰り返した末、この難題に答えを出した。
ちょうちんは古代・中国から伝わった。竹ひごを組み合わせて筒状にしたものに和紙を貼り、中にろうそくや電球をともす。飲食店の店頭や神社のお祭りで飾られるほか、最近はイベントでも多数使われる。
今回、「ちょうちん自動谷折り機」の開発に成功したのは、広島市にある「バロ電機工業」。
2年ほど前、ビニール製ちょうちんで全国トップシェアの「宇佐ランタン」(大分県宇佐市)から、「紙の『谷折り』作業を自動化できないか」と依頼を受けたのがきっかけだ。知的障害者が社員の半数という同社は、雨でも破れない紙のちょうちんを開発。量産化を進めるため、知的障害者には紙の貼り合わせなどの熟練が必要な作業に専念してもらい、1個あたり約5分かかる「谷折り」の手作業を機械でできないかと考えた。
谷折りといっても、そう簡単ではない。機械をゼロから独自に開発するには、かなりの困難が予想された。
開発の背景には会社の将来への危機感も
だが、バロ社の田中政宏社長…