「危険」踏切廃止へ 9線またぐのに遮断機も警報もない

織井優佳
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 JR逗子駅の約300メートル東側にある「山の根踏切」(神奈川県逗子市)が、20日午前1時で廃止される。別の踏切が近くにあるものの、利便性が高いため地元の人たちが活用。ただ、2019年3月に高齢男性が列車にはねられて死亡する事故があり、その後も列車の非常停止が頻発していた。

 山の根踏切は全長35・5メートル。横須賀線と貨物、留置線の9線をまたぐが、遮断機も警報機もない「第4種」だ。逗子駅の直近に遮断機、警報機のある第1種の「金沢新道踏切」もあるが、駅北側から京急の逗子・葉山駅方面に行くには山の根踏切を通った方が距離が近いため近隣住民らに使われてきた。だが、1987年、2005年にも人身事故が起きていた。JR東日本横浜支社によると「これだけ長い第4種踏切は首都圏ではほかにない」。04年ごろから廃止を念頭に市と話し合いを続けてきた。

 同社は19年の事故後、注意喚起の看板、ポールなどを新設。ただ、20年度に運転士が踏切で列車を非常停止させたのは7件あり、今年度も6月までに2件あった。注意喚起で警笛を鳴らし、停止には至らなかったケースなどもあった。

 市は、住民らの意向を受けて遮断機などを設置する「1種化」を要望。しかし、県道に接する踏切北側には機器の設置や歩行者が待機する場所の余地がなく、設置は物理的に難しかった。また、逗子駅で頻繁に行われる車両の連結・分割に連動して動くこの踏切は、1種化しても長時間遮断される「開かずの踏切」になることが想定された。

 こうした理由から同社は廃止を決めた。近隣住民らは反発しているが、同社は「事故後も危険な事態が続いており、死傷事故を防ぐためにご理解いただきたい」としている。(織井優佳)